DeNA今永昇太が豪州で捨てたフォームの迷い、手に入れた新たな感覚と視点
2019年に誓う奮起「僕は代わりの利かない選手になりたい」
普段から「相手の先発投手ではなく、対戦するのは打撃陣。バッター目線の言葉が何よりのヒント」と、チームメートの筒香嘉智や宮崎敏郎から打者目線からの意見を聞くという。そんな今永がオーストラリアに旅立つ直前、偶然テレビから聞こえてきたヤクルト青木宣親の言葉も1つのヒントになった。
「青木さんがテレビで打者目線の話をされていたんです。このピッチャーのこの投げ方だったら、ボールは大体この速さ、この回転数で来る。そうすれば、どの辺りにバットを振り出せば打てる。変化球もこの高さにポンと上がったボールだったら、大体この感じでこの辺りに落ちてくる。打者はそう予測しているから、ピッチャーは打者の予想を上回るか下回るボールを投げれば打ち取れるんだって。打ち頃のピッチャーはちょうど予測通りの球を投げてくるって仰有っていました。
僕にはそういう感覚がなかったんですよ。自分がいい球を投げれば打ち取れると思っていたので。でも、そうではなく、自分が納得いかない球であっても、打者の予想を下回っていれば打ち取れるかもしれない。さっきの力感の話にもつながりますが、投球フォームから打者が予測する力感より速く投げても、遅く投げても打ち取れる。そういうこともオーストラリアではゼロから試すことができました」
2019年シーズンのキャンプインは、もうそこまで迫っている。オーストラリアで手応えを掴んできた左腕は、「キャンプでも継続できるか楽しみですね」と話す。同時に、もう一度チーム内でのポジションを勝ち取ろうという気概も忘れない。
「去年と変わった姿を見せられなかったら、正直、僕の代わりはたくさんいると思います。そういう立場にしてしまったのは自分。でも、僕は代わりの利かない選手になりたい。もう1回、今年入ったルーキーたちと同じ気持ち、それ以上の気持ちで立場をアピールしたいですね。そして、しっかり結果を出して、去年ファンの皆さんに悔しい思いをさせた分、それを笑顔に変えられるように頑張ります」
オーストラリアで迷いを振り払い、数多くの気付きを得た今永。悔しい思いしか残らない2018年は成長の糧となったのか。その答えは、2019年のパフォーマンスが物語る。
(佐藤直子 / Naoko Sato)