元日ハムエース西崎幸広氏が振り返る「別格」野茂英雄と「天才」イチロー

日本ハム・西武で活躍した西崎幸広氏【写真:編集部】
日本ハム・西武で活躍した西崎幸広氏【写真:編集部】

イチローは「やっぱり天才」、対策は前後の打者を抑えること

 もう1人「やっぱり天才ですよ」と脱帽するのが、今季も45歳で現役を続行するイチローだ。1992年にオリックスでデビューしたイチローは、3年目からレギュラーとして定着。その後は「安打製造機」の名をほしいままにした。何度も対戦を繰り返した西崎氏は「あのバットコントロールは本当に素晴らしい」と大絶賛するが、「実はどうやって抑えるとか、考えたことはありません」と明かす。

「イチローには打たれても仕方ない(笑)。だから、その前後の打者を抑えればいいと考えていました。イチローは長打ではなく、足はあっても単打ばかりだったので、まずは彼の前の打者をどう抑えるか。ノーアウト一塁でイチローを迎えるよりも、1アウト走者なしで迎える方がいいですから。3割、4割打つバッターを抑えようと思うのではなくて、その前後で勝負する。そう考えるとすごく楽でしたね。ホームラン打者だったら、打たれたら1点取られてしまうけど、単打だったらつながれなければいい話ですから」

 現役時代に数々の名打者と対戦を繰り返した西崎氏だが、バットにうまくボールを当てる打者よりも、フルスイングしてくる打者との対戦に手を焼いたという。1980年代から90年代に黄金期を築いた西武打線は、中軸に秋山幸二、清原和博、デストラーデを擁するなど、その典型だった。

「本当にフルスイングをしてきたんで嫌でしたね。でも、フルスイングをする打者はホームランを打つけど、穴もある。例えば、内角寄りで腰の高さがホームランコースだとすると、その周りの球は結構苦手なんですよ。少しずれると凡打に変わる。その駆け引きなんです。得意なコースからボール1個分ずらすことを狙う。こちらがコントロールミスすればホームランですから、自分に絶対ミスするなよって言い聞かせていました」

自分なりのデータを整理「打者の直近データより対自分のデータを重視」

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