異国の地で自身の野球経験を“伝える”日本人 世界的な野球の普及に向けて
1つしかない野球チーム ラオス野球の成長のために
ラオスにおける野球は、韓国野球関係者の継続的な支援により、本格的に普及活動が始まって約5年で国際大会に出場できるまでに成長した。昨年8月にインドネシアで行われたアジア大会に出場。2戦全敗だったものの、この出来事はラオス野球に大きな影響を与え、女子チームも誕生した。しかし、国内には「ラオJブラザーズ」という野球チームのみで対戦相手がおらず、練習するのみの日々が続いている。
そんな中、山本氏は仕事の傍ら、週末はラオスチームのコーチとして選手を指導している。普段は練習ばかりだが、毎年1月に周辺国を集めて野球大会を開催しており、今年の1月17日から3日間にわたって「韓国-ラオス野球大会」が行われた。山本氏は日本チームの参加選手を集めるなどキャプテンのような役割をこなし、5ヶ国10チームで構成された今大会では日本チームの捕手として出場、巧なリードで勝利に貢献した。
こうして主に週末限定ではあるが、ラオス野球の成長の過程を身近で見ている山本氏。今後の成長のために必要な要素を聞くと、次のような答えが返ってきた。
「ラオスでの競技人口増加が必要だと思います。対戦する相手やライバルもいないので目標を定めるのが難しいのではないでしょうか。それでも韓国人の方が指導熱心なおかげもあってここまで成長しています。また、ラオス人は物事を覚えるのが早いのでこれからの技術向上に期待したいですね」
競技が国全体に普及するまではかなりの時間を要するが、ラオスでは山本氏や韓国野球関係者の寄与によって一歩ずつ前に進んでおり、山本氏本人は「仕事をしながらですけど、野球は気晴らしになって楽しいですね」と語る。こうして、プロ選手でなくとも自らの経験を他国の選手に伝えている日本人は世界中に存在している。今後の山本氏の活躍に期待したい。
(豊川遼 / Ryo Toyokawa)