菊池雄星、米デビュー登場曲が「ニルヴァーナ」だった訳 仕掛け人は粋な“演出家”
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T-モバイル・パークの音響を担当するサンフォード氏が粋な演出
しかし、ここはあらゆる角度から観客を楽しませる“ボールパーク”。音の演出にもこだわりがある。T-モバイル・パークの音響を担当するクリスチャン・サンフォード氏(31)が、背番号「18」の本拠地での米国初登板を粋な選曲で盛り上げてくれた。
1回表、一塁側のダグアウトからゆっくりと歩を進める菊池に当てたのが、90年代にシアトルから全世界に広がった“グランジ・ロック”を代表するグループ、ニルヴァーナの大ヒット曲、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」だった。サンフォード氏はしたり顔で言った。
「ユウセイが初めてシアトルのファンの前で投げるんだから、『ようこそシアトルへ!』という感じでね、そうなればニルヴァ―ナでしょ。それに今日は金曜日だし、若者も多く観戦しているから。曲はパーティー気分のやつということで選びましたよ」
シアトルは音楽のムーブメントを生む土壌があり、多くのギタリストに多大な影響を与えた今は亡きジミ・ヘンドリックス生誕の地でもある。28日の開幕戦ではニルヴァ―ナと人気を二分していたパール・ジャムのギタリスト、マイク・マクレディが引退したイチローを惜しむように背番号「51」のユニホームを着用し、エッジの利いたサウンドでアメリカ国家を奏でた。
サンフォード氏は2年前から同球場の音響を担当。豊富な音楽知識とセンスを生かし、この日は登場曲に飽き足らず、さらに菊池を盛り上げた。
見事3者凡退で終えた1回のマウンドを降りる菊池にオーストラリア出身のバンド、ジェットの大ヒット曲「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」を轟かせた。英語で打者を3人で片付ける「ワン、ツー、スリー」が冒頭に出てくる歌詞と引っ掛けて左腕の立ち上がりを称えたのだった。
「ユウセイから曲の指定がないから、状況を考えて選んでみたよ。次回の本拠地登板には彼からのリクエストがあるんじゃないかな」
シアトル&米初登板を舞台裏から演出したサンフォード氏は、菊池が選ぶ登場曲を心待ちにしている。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)
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