よき野球選手、よきスポーツマンに… 新潟県高野連がスポーツマンシップ講演会を実施

新潟県高野連がスポーツマンシップ講演会を実施【写真:広尾晃】
新潟県高野連がスポーツマンシップ講演会を実施【写真:広尾晃】

「知っているようでよく知らない」スポーツマンシップについて紹介

 新潟県高校野球連盟は、4月18日、新潟市内でスポーツマンシップ講演会を行った。この日の午前には、春季県大会の組み合わせ抽選会が行われ、県内から連盟所属高校の野球部指導者が集まったが、これら指導者を対象に午後からはスポーツマンシップ講演会が行われた。

 講師は日本スポーツマンシップ協会代表理事で、千葉商科大学サービス創造学部専任講師の中村聡宏氏と、アジア野球連盟審判長の小山克仁氏。

 中村氏は「今こそ、スポーツマンシップを考える」と題し、「知っているようでよく知らない」スポーツマンシップについてわかりやすく紹介した。中村氏は日本の辞書では「スポーツマン」とは、「運動が上手な人」「運動をすることが好きな人」「運動をよくする人」と書かれているが、古いオックスフォードの辞書では「good fellow(よき仲間)」と書かれていると紹介。

 そもそものスポーツマンシップを知る必要性を訴えた。この講演は、受講者である高校野球指導者にスポーツマンシップへの理解を深めてもらうとともに指導者が選手たちにスポーツマンシップについて教えることも念頭に入れたものになっていた。

 このため「クイズで学ぶスポーツマンシップ」と題し、スポーツマンシップを一問一答のクイズ形式で解説した。スポーツとは運動+ゲームであり、ルールに則り競争する遊びであること、スポーツの語源はラテン語の「deportare(遊び、気晴らし)」であり、愉しくなければスポーツと言えないことであると紹介。

 しかしながらスポーツの最高の喜びは「勝利」であり、その喜びを得るためには相手(仲間・プレーヤー)、ルール、審判を尊重することが重要だと説いた。特に「相手」は「敵」ではなく、スポーツを愉しむための「仲間」であるとし、相手を尊重し、大切に思うことが必要と強調した。

 スポーツに必要な「キモチ」は、プレーヤー・ルール・審判を「尊重」すること、様々な困難も恐れずに挑戦する「勇気」、あきらめずに最後までやりぬき全力を尽くす「覚悟」だとまとめた。さらにスポーツマンは「よき敗者(Good Loser)」「よき勝者(Good Winner)」にならねばならないとし、小平奈緒、松井秀喜、イチローなど世界の舞台でスポーツマンとして素晴らしい振る舞いをした選手を紹介。

「たかがスポーツ、されどスポーツ」、人生にも通じる「正解のない複雑さ」を愉しもうと呼びかけた。
そして、来年の「東京オリンピック」は、単なる競技会ではなくスポーツマンシップに基づくオリンピズムのキャンペーンの場であるとし、「私たちもスポーツマンになろう」「そして、スポーツマンを育てよう」と締めくくった。

 小山克仁氏は、東京六大学や甲子園、さらにはオリンピックなど国際大会での豊富な審判としてのキャリアを背景に「マスク越しに見た世界の野球―スポーツマンシップの視点からー」と題し、野球の歴史からひも解いて「スポーツマンシップと野球」を解説。

 そもそも野球は「子どもの遊び」としてスタートした。最初のルールはわずか「20」しかなかった。またビジターを尊重するスポーツでもあった。投手はもともとは打者が打てる範囲に投げるものであり、打者は打てる範囲はフルスイングするものだった。そして審判は試合の最高責任者としてフェアな試合が行われるようにコントロールする役割があった。

「球数制限」を導入予定だったが、「有識者会議」に検討を委ねることに

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