ヤクルト山田哲、DeNA今永…セイバー目線で選出する3、4月の月間MVP【セ編】

今永はWHIP、QSともに安定感

◯3、4月の月間MVP セ・リーグ投手部門
今永昇太(DeNA)
登板5 2勝1敗  
防御率 1.18 WHIP 0.79 QS率 100% 被打率0.174(リーグ1位)
FIP 3.09 奪三振率 8.76 K/BB 5.29
 
 NPBが発表した「大樹生命月間MVP賞」候補選手は10人。その中でも有力なのはこちら。

山口俊 4勝0敗 防御率 1.59 奪三振率 7.94 被打率 .168
床田寛樹 4勝1敗 防御率 1.83 奪三振率 8.13 被打率 .208
五十嵐亮太 5勝0敗 防御率 0.73 奪三振率 7.30 被打率 .143
P・ジョンソン 1勝6H 防御率 0.00 奪三振率 10.95 被打率 .128
今永昇太 2勝1敗 防御率 1.18 奪三振率 8.76 被打率 .174

 ヤクルトに復帰した五十嵐が救援ながら5勝と最多勝をマーク。阪神の新セットアッパー、ピアース・ジョンソンがストレート、スラッター要素のカットボール、カーブ全てで三振が取れるピッチングで11試合連続無失点を記録するなど規定投球回数に達していない救援投手陣の活躍も目立ちました。NPBの月間MVPとしてはチーム首位に貢献する4勝をマークした山口俊が有力と予想します。

 ではセイバーメトリクスの視点での評価を見てみましょう。

今永昇太 WHIP 0.79 K/BB 5.29 FIP 3.09 RSAA 4.60 QS率100%
山口俊 WHIP 1.03 K/BB 1.88 FIP 3.50 RSAA  2.57 QS率 80%
床田寛樹 WHIP 1.05 K/BB 2.82 FIP 3.12 RSAA 4.05 QS率 80%
五十嵐亮太 WHIP 0.81 K/BB 2.50 FIP 2.47 RSAA 2.34  
P・ジョンソン WHIP 0.57 K/BB 7.50 FIP 1.42 RSAA 3.79  

 RSAA(Runs Saved Above Average)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標

(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9

において、今永は5人の中では最も高い評価を得ています。また4月13日に広島戦で1安打完封をするなど、WHIP、QS率ともに安定感のある数値を残したDeNAの今永を今月の投手部門月間MVPに推挙します。ちなみに4月10日には同じDeNAの濱口遥大も1安打完封を記録しており、3日で同一球団の投手が1安打完封を果たすのは73年ぶりの記録だそうです。

 惜しくも選に漏れたP・ジョンソンですが、ドリスとの救援コンビの安定感は凄まじく、4月下旬の阪神好調の下支えとなりました。

WHIP: 1イニングあたりに許したランナーの平均数
K/BB: 奪三振数/与四球
FIP:被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手能力を評価する指標
QS率:全先発登板におけるQS(クオリティスタート)の割合

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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