巨人菅野、不調の要因は…データから分析、カウント球に課題?

厳しいコースに投げざるをえなかった可能性?

 ただこれらのデータは、菅野がカウント球を厳しいコースに投げすぎなければ不調が解決するということを示しているわけではない。菅野が厳しいコースに投げていたのはそうせざるをえなかったという可能性もある。どういうことだろうか。

 今季の菅野のストレートはバットに当てられるケースが例年より多くなっている。ストレートのコンタクト率(スイングされたうちボールに当てられた割合)は、2016年から昨季まで78.3%→78.9%→78.9%と推移してきたが、今季は86.4%まで上昇した。

このように以前ほど空振りが奪えなくなっているストレートをカウント球として甘いコースに投げれば、当然痛打を浴びることも多くなるだろう。そこで痛打を避けるため、より厳しいコースに投げ込まざるをえなかったという可能性は考えられる。

 今回の分析では菅野不調の根本的な原因を特定するにまでは至っていない。ただそれでも2ストライクでの投球割合が減少しており、カウント球がうまく機能していないのは事実である。次回の登板で、カウント球がどのようなコースに投げられるか、またそれらの球で2ストライクにどれだけ持ち込めるかは注目したいポイントだ。(データはすべて2019年5月15日終了時点)

(DELTA・八代久通)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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