“リーグ最低打率”は名選手ばかり? パ・リーグ過去14年を振り返る
日本ハムの屋台骨を支える主力2人も、深刻な不振からのカムバックを経験
日本ハムの正遊撃手として活躍を続ける中島卓也内野手は、2016年シーズンも粘り強い打撃と23盗塁を記録した俊足を活かして全143試合に出場。打率こそリーグ最低だったものの、同年のリーグ優勝と日本一にも主力として貢献している。しかし、翌2017年はケガもあって91試合の出場にとどまり、打率.208とさらなる不振に陥ってしまう。捲土重来を期して臨んだ2018年、中島卓也選手は132試合に出場してキャリアハイに迫る打率.261を記録。29盗塁に加えて自身初の満塁弾も放ち、その存在価値を改めて示した。
中田翔内野手は2016年まで5年連続で24本塁打以上、3年連続で100打点以上を記録し、4番として力強い打撃を披露していた。ところが、2017年はシーズンを通して過去になかったような大不振にあえぐ苦難のシーズンに。打撃3部門の成績は規定打席に到達したシーズンの中ではいずれも自身最低で、OPSも.677と信じられないような数字が並ぶ結果に。今後への影響も心配されたが、続く2018年は25本塁打、106打点、打率.265と復活。打撃成績を2016年以前の水準に戻してみせ、主軸としての役割をきっちりと果たした。
以上のように、過去14シーズン中11シーズン(山崎氏、小谷野氏、炭谷は各2度ずつ)において、リーグ最低打率を記録した選手が、その後に復活あるいは躍進を果たしたという結果となった。ここからは、残る3選手についても触れていきたい。
細川亨捕手は翌2008年の16本塁打、58打点、打率.238が現時点でのキャリアハイだが、捕手としての高い能力を活かして西武とソフトバンクで計5度の日本一に貢献。打撃面での飛躍的な向上こそなかったが、所属したチームへの貢献度の高さには疑いの余地がないところだ。アンドリュー・ジョーンズ氏は今回取り上げた2014年を最後に日本ではプレーせず、2016年に現役引退を表明。安達了一内野手は判断できるだけの期間に乏しいうえ、まだケガからの回復の途上にある。今後の復活に期待がかかるところだ。
低打率にもかかわらず、規定打席に到達するほど試合に出場し続ける選手には、起用され続けるだけの確かな理由がある。今回取り上げた選手の大半がその後に持てる実力を発揮していることから、そういった傾向も読み取れるのではないだろうか。ある意味では主力の証、首脳陣からの信頼の証ともいえる、リーグ最低打率の座。打率ランキングが存在する限りは必ず生まれてしまう存在のその後に着目すると、その選手の活躍をまた違った目線から見られるかもしれない。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)