ロッテ鈴木は主軸を務める“スーパーユーティリティ” 過去には真弓、木村拓らが活躍

広島、巨人で活躍した木村氏は2009年に延長12回に“急造捕手”として出場

○森野将彦氏(元中日)

 森野氏は2010年に3番打者として22本塁打、84打点、打率.327、OPS.936と大活躍してリーグ優勝に貢献するなど、主力打者として2000年代中盤から2010年代初頭にかけての中日黄金期を支える存在だった。安定感と長打力を兼ね備えた打撃もさることながら、状況に応じて様々なポジションに対応する高いユーティリティ性でもチームに貢献していた。

 1997年のプロ入り時は遊撃手だったが、2006年には主に三塁手を務めてリーグ優勝に貢献。2007年は左翼手のレギュラーとして開幕を迎えたものの、5月下旬からは二塁手や三塁手としてのスタメン出場が増えていく。福留孝介選手の離脱後は右翼手としての出場も増加し、時には中堅を守る試合も。打撃でも主に5番打者として打率.294、18本塁打、97打点と勝負強さを見せ、攻守に存在感を発揮してチームの日本一にも貢献を果たした。

 翌2008年は主に中堅手としてスタメン出場しながら、試合終盤は守備固めとして三塁に移るケースも多く、引き続きマルチな才能を発揮していた。2009年からは三塁手に専念していたが、2013年には一塁手や二塁手としての先発機会が増加し、久々にマルチな才能を発揮していた。通算1581安打を放った打撃もさることながら、現役生活を通じてバッテリーを除く7つのポジションを経験した守備面での活躍も特筆ものだった。

○木村拓也氏(元日本ハム・広島・巨人)

 捕手としてドラフト外で日本ハム(現・北海道日本ハム)に入団し、1994年オフにトレードで広島に移籍した木村氏は、出場機会を求めて内外野の守備に挑戦したことで徐々に出番を増やしていく。代打・代走・守備固めの全てをこなせるスーパーサブとして一軍に定着し、投手を除くすべてのポジションを守れるユーティリティプレーヤーとして、チームに欠かせない存在へと成長していった。

 2000年にはチーム状況に応じて二塁手と中堅手を守りながら主にトップバッターを務め、全136試合に出場。最多安打まであと3本に迫る165安打を放ち、打率.288、10本塁打、30打点、17盗塁という数字を残し、切り込み隊長として活躍した。2002年には二塁、三塁、遊撃、中堅、右翼の5ポジションで先発しながらレギュラーを守っており、2003年まで4年続けて130試合以上に出場して規定打席にも到達。まさに「スーパーユーティリティ」のお手本と呼べる大活躍を見せていた。

 2006年途中の巨人移籍後は30代後半という年齢面もあってか、スタメンを与えられる時は経験が豊富なセカンドとしての出場が大半に。しかし、2008年には一塁、二塁、三塁、外野でそれぞれ守備機会を記録するなど、有事には複数のポジションをこなせる万能性はベテランの域に入っても衰えず。現役最終年となった2009年、延長12回の試合で“急造捕手”として出場し、1イニングを無失点に抑えた場面は今なお語り草となっている。

○リック・ショート氏(元千葉ロッテ・楽天)

 2003年に千葉ロッテに入団したショート氏は、三塁と左翼を兼任しながら127試合に出場し、打率.303、12本塁打、58打点と来日1年目から活躍を見せる。しかし、ボビー・バレンタイン監督の復帰に伴い助っ人の顔ぶれが大きく入れ替わったこともあり、在籍はこの1年限りに。その後は米国でプレーを続けていたが、2006年に楽天に入団してNPBに復帰。新天地では登録名を「リック」に改め、再びその巧打とユーティリティ性を発揮していく。

 3年ぶりの日本球界挑戦となった2006年は一塁、二塁、三塁、左翼と4つのポジションをこなしながら、打率.314と安定した打撃を披露。球団創設直後の極めて選手層が薄かったチームを、マルチな働きで懸命に支えた。翌2007年も一塁、三塁、左翼の3ポジションで115試合に出場し、打率.330とさらに成績を上げて首位打者争いを演じた。左翼手としての出場が大半となった2008年は134試合で打率.332と前年同様の快打を見せ、球団史上初となる首位打者のタイトルにも輝いた。

 多くの打順に対応して安打を量産した打撃のみならず、決して名手とは言えなかったものの、チーム状況に応じて様々なポジションを務めた守備でもチームに貢献。厳しい戦いが続いた球団の黎明期を主力として支えた、まさに優良助っ人といえる存在だった。ちなみに、内外野問わず複数のポジションを務めてきたショート氏だったが、その名前に反してNPBで遊撃手(ショート)を守ったことは1度もなかった。

ロッテ鈴木以外にも西武外崎、オリックス大城など複数ポジションでレギュラーとして出場

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