東海大相模、効果の高い走塁で6得点 データで楽しむ夏の甲子園【6日目・第1、2試合】

近江・林はチェンジアップで空振り率44.4%も、合計6個のエラーが致命傷に

○東海大相模 6-1 近江

【東海大相模】
打率.167 OPS.384 wOBA0.327
O-swing% 38.0% Z-swing% 76.1% Swing% 59.8%
O-contact% 42.1% Z-contact% 84.3% Contact% 72.9%
Zone% 57.3% SwStr% 17.1%

【近江】
打率.125 OPS.378 wOBA.249
O-swing% 24.7% Z-swing% 61.6% Swing% 41.0%
O-contact% 26.1% Z-contact% 82.2% Contact% 63.2%
Zone% 44.0% SwStr% 15.1%

○東海大相模 投手の各指標

遠藤成
7回1/3 打者数27 投球数116
WHIP 0.55 P/IP 15.82 GB/FB 1.29
ストレート48.3% スライダー 42.2% フォーク6.9%
Zone% 43.1% 空振り率 15.1%

紫藤大輝
1回1/3 打者数6 投球数40
WHIP 1.50 P/IP 30.00 GB/FB 0.00
ストレート62.5% スライダー 37.5%
Zone% 45.0% 空振り率 10.0%

○近江・林優樹投手の各指標

9回 打者数37 投球数118 
WHIP 0.78 P/IP 13.11 GB/FB 4.17
ストレート34.7% スライダー 29.7% カーブ 19.5% チェンジアップ16.1%
Zone% 57.3% 空振り率 16.9%

 地方予選を強打で勝ち抜いた東海大相模に対するのは、前年ベスト4を経験してきた近江。林投手は東海大相模相手に被打率.167、WHIP 0.78、被本塁打0と、データ上では完璧と言えるほど抑えてました。外角に71.8%、低めに45.3%を集めるなど丁寧なコントロールでGB/FBは4.17とゴロの山を築きました。

 また、4種類の球種をうまく使い分け、チェンジアップで44.4%の空振りを取るなど、トータルで16.9%の空振り率で東海大相模打線を翻弄しました。しかしながら、地方大会で失策0で乗り切った守備にほころびが出て、失策出塁は5、牽制悪送球のエラー1と合計6個のエラーが致命傷となってしまいました。

 東海大相模の打線はOPS.384と押さえ込まれた形となりましたが、相手の送球間をつくスキのない走塁でチャンスを広げ、近江にプレッシャーをかけ続けていきました。特に6回表の攻撃では、長打を打ったわけではないのですが、打者走者が積極的に二塁を狙い、常に得点圏にランナーを置き相手にプレッシャーをかけていきました。セイバーメトリクスにおいて走塁の効果を示すUBRが高い攻撃を行った結果が6得点につながったと言えるでしょう。また東海大相模の投手陣も外角に73%の球を集め、近江打線を散発4安打に抑えました。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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