元選手も奮闘中… ロッテの選手プロデュースメニューはどうやって作られる?【パお仕事名鑑Vol.4】
元選手だからこそできる「架け橋」
元選手だからファンの声を聞ける機会が多い。ファンと球団の業務との距離が近くなるというのはどちらにとっても大きなメリットだろう。現在、マリーンズでは3人の元選手が職員として働いている。黒沢さんはどのような経緯で現職に就いたのだろうか。
「戦力外だと伝えられるときに球団事務所に呼ばれるのですが、そのタイミングで『チームスタッフとして考えてます』と言われました。今までの流れだと、基本的に裏方さん、バッティングピッチャーへということが多かったんですね。そういう想像をしていたので事業部での採用にびっくりしました。社長からは『こっちで頑張ってみたらどう?』と言われまして『じゃあ頑張ります』という感じで、その場で決めました」
それまでは、ロッテで選手を辞めて球団の事業関係の部署に転じるという例はほとんどなかった。前例がほぼない中での手探り。しかし、元選手だからこそのやりがいを黒沢さんは感じている。
「この仕事をするという時に、『選手と球団の間の架け橋に』みたいな感じでできたらいいなという希望はありました。僕が選手だった時、事業側と接点がなかったんです。井口監督になってから選手もファンサービスにも力を入れています。飲食に限らず、知ってる選手がいっぱいいますから、その間に入ってなにかの力になれればいいかなと考えています」
ファンサービスに対してどれだけ球団が努力しているか、またどんな動きをしているのか知る術がなかった。もし知っていればできることもあったかもしれない。もっとファンに喜んでもらいたいと考えている選手との懸け橋。なるほど元選手だったからこその発想だ。
「僕の場合は、球団に対して恩返しじゃないですけど、選手時代にマリーンズにお世話になったので、今度はスタッフとして力になれればいいなという気持ちです」
その思いが黒沢さんを動かしている。飲食経験はもちろんなく、名刺を持ったことも初めてで、ビジネスマナーもイチから学び、そこからようやく飲食についての勉強と実践。大変なことも多かったが、この仕事の面白みを存分に感じ始めている。
「美味しいものも食べられるんで。いやちょっと去年は、食べ過ぎたんで太りすぎました(笑)。それはともかく、これからはもっと飲食イベントも仕掛けたいですね。肉やから揚げなどはやっているんですが、次はスイーツやお弁当かな。球場の外周を使ったイベントもやりたいです。この球場は立地的に正直難しい部分はあるんです。なにかの帰りについでにっていう場所ではない。飲食でも、ここに来る目的をつくっていきたいです」
マリーンズでは飲食部門はホスピタリティグループに属する。飲食はファンに対しての“おもてなし”という考え方だ。黒沢さんが選手とともに開発したプロデュースメニュー。これもファンに対しての大切なおもてなしの気持ち。選手のファンへの感謝の気持ちをおいしさと楽しさに変えて。飲食で球場とチームを盛り上げるべく、元選手は奮闘している。
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(「パ・リーグ インサイト」岩瀬大二)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)