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将来の計画を全部消した― ITコンサルタントとして歩む元G左腕が描く未来

何かをイメージすることは大切だ。スポーツ界でも「イメージトレーニング」の重要性が説かれ、多くのアスリートが試合やレースに臨む前、自分が最高の結果を掴む姿を思い描く人が多い。だが、時には、イメージ通りに物事が進まないこともある。いや、進まないことの方が多いかもしれない。

フィリピンに野球アカデミーを設立、元選手のキャリアチェンジの場として活用も

 現在は、企業の経営戦略を踏まえたITシステムの提案・導入を経営層相手に行いながら仕事に勤しむ一方、フィリピン在住の子供を対象とした野球アカデミーを設立することを検討している。ゆくゆくはフィリピンで作ったビジネスモデルを東南アジアに拡大し、「日本と東南アジアにとってwin-winな仕組みを作れたら」と話す。

「2016年3月、転職する前に英語が話せるようになりたいと思い、イギリスとフィリピンに1人でホームステイに行きました。その時、フィリピンで野球をしている現地の子供たちがいたので『野球を教えるから代わりに英語を教えて』と声を掛けたんです。そこから始まって『今度はこっちで野球を教えて』『ここにも来てほしい』と人脈が広がった結果、去年はフィリピンでU-10代表のコーチもしました」

 フィリピンの子供たちに教えているのは、日本の野球文化と基礎がメインだ。ジャイアンツアカデミー時代に学んだ指導のノウハウはもちろん、教育の一環とした挨拶の徹底、野球道具は投げない、話を聞く時は耳を傾けるといった日本では当たり前のマナーも教える。フィリピンを何度も訪れて指導を重ねるうちに「やれることが山ほどある」と感じ、本格的なアカデミー運営とカリキュラムを作り始めた。

「本当に初心者の子や無茶苦茶にやっていた子たちを一定レベルまで引き上げる。日本で学んだ基礎を伝え、野球を好きになってもらえるように楽しい環境を作り、応用編は僕の経験とフィリピン人スタッフの意見を元に日々ディスカッションして作っていきます。日本で作り上げた方法を参考にはしますが、フィリピンで作ることに意味がある。フィリピンを皮切りに東南アジア各地にアカデミーを展開したいと考えています」

 さらに、東南アジア各地に作るアカデミーを、元野球選手たちがセカンドキャリアに踏み出す前のスキルアップの場にしたいという想いもある。

「現役引退後、セカンドキャリアを探すと言ってもすぐに使えるスキルがない元選手たちに、アカデミーのコーチとしてインターンをしてもらうんです。3か月から1年単位で現地に住んで、野球を教えながら英語を学んでもらう。現地では日本企業の駐在員の方や現地企業の方と知り合う機会もあるので、彼らと話をする中で興味のある仕事が少しはイメージできるようになると思います。そのままコーチを続ける選択もあるでしょうし、帰国後に新たに就職活動をしてもいい。その場合は『引退後はこういう時間を過ごして、興味のある仕事に出会いました。就業経験はないですが、英語はある程度話せます。TOEICも○点あります』となれば可能性は広がる。

 既存のセカンドキャリア支援として、とりあえず就職先を紹介されても、本当にやりたい仕事ではなかったり、思っていたより給料が安かったり、嫌になって辞めてしまう場合が多い。それでは根本的な支援にはならないと思うんです。その場での解決策ではなくて、将来的なことも考えた場合、元選手たちにキャリアチェンジするための環境を提供したいなと。得意なことを生かしながら、新しいスキルを身に付け、人脈を広げて、自分の可能性を模索する。もし自分が現役の時にこのシステムがあれば手を挙げて参加したと思うので、それなら自分で作ってしまおうと(笑)」

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