【U-18W杯】ヒヤヒヤ発進の侍J 名将・渡辺元智氏が語る国際大会の「読めない」難しさ
世界一を狙う上で大事なポイントは「どうコンディションを整えていくか」
「やはり世界にも素晴らしい選手がいます。なかなか情報も得にくい。結局は読めないんです。アメリカはチーム力があると言っても、その中にどんな選手がいるか。おおよそは主力は分かるにしても、そこに伏兵が現れたり、思いがけない選手がたくさんいるんです。そういう選手に一発食らったりして負けたとか、そういうことがある」。どこのチームにも言えることではあるが、ほとんど情報がない中で戦う難しさが1番にあるという。この日スペイン代表で先発し、7回まで無失点に封じ込められたルナ投手などは、まさにこの「思いがけない選手」だったと言えるだろう。
国際大会ではルールに関しても、日本とは違うことも多々ある。「こんなことがボークなのかとか、これはボークじゃないのかとか、色々あると思います。そういう中で戦っていくわけです」と渡辺氏。日本と異なる環境、そして、こういった“読めない相手”とどう戦っていくべきか。渡辺氏は「日本の野球をしっかりと、大事な大会で発揮できるか。あまりに相手を研究するがために自分たちの野球ができなくなるのは良くない。変わらないのが自分たちの基本的な野球ですから。その中で相手の弱点もゲームをしながら瞬時に把握し、対応していく野球をしないといけない」と語る。
もう1つのポイントとして渡辺氏は「それと同時にコンディション調整が大事。いかに上手く持っていくか、でしょうね」とコンディション調整の大事さを挙げる。甲子園が終わってから、まだ約1週間ほど。準決勝や決勝、大会終盤まで勝ち上がっていた選手には、間違いなく疲労が残っているという。
現に、準優勝した星稜の奥川はまだ疲労が残り、調整ペースは上がっていない。昨年のU-18アジア選手権では吉田輝(日本ハム)の疲労の色が明らかでコンディションが上がっていかなかった。渡辺氏も2004年大会を振り返り「ダルビッシュが甲子園の疲れから投げられなかった」という。さらに「それと同時にコンディションの維持、バイオリズムを作るのも難しい。どう選手のコンディションを整えていくかも大きな要素だと思います」と挙げた。
「スーパーラウンドまで日本のエース2人、佐々木と奥川をどうぶつけられるか。ただ、そこまでにもしたたかな相手はたくさんいるんです。そこを総合力で戦っていってもらいたい」と語った渡辺氏。苦しみながら、初戦で白星を掴んだ侍ジャパン高校代表。悲願の世界一に向けて、どのような戦いを見せるか注目だ。
U-18W杯のオープニングラウンド試合日程は以下の通り(※全試合BS朝日・AbemaTVで放送予定)。
8月30日(金)12時~ 日本vsスペイン
8月31日(土)12時~ 日本vs南アフリカ
9月1日(日)18時~ 日本vsアメリカ
9月2日(月)18時~ 日本vs台湾
9月3日(火)18時~ 日本vsパナマ
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)