ソフトバンク、楽天のCS1st“初体験”は誰? 森原、辰己、甲斐野、周東らにチャンス

ドラフト1位甲斐野、周東ら“新戦力”活躍に期待

【ソフトバンク】

 リーグ制覇にあと一歩届かなかったソフトバンク。投手陣ではルーキー・甲斐野には特に注目したい。開幕から1軍のブルペンに抜擢されると、そのままチーム最多の65試合登板に登板し、フル回転でシーズンを完走。防御率は4.14ながらも、アマチュア時代からも定評だった150キロ後半の豪速球がプロでも通用することを証明した。東洋大時代はリーグ3連覇も経験しており、プレッシャーのかかるマウンドの経験も十分。プロの舞台でも、クライマックスシリーズを制する好投に期待したい。

 2015年ドラフト1位の4年目・高橋純も、今季が自身初のクライマックスシリーズとなる。5月に2年ぶりとなる1軍のマウンドに立つと、そこからブルペン陣の一角として定着。6月、7月には2か月連続で月間防御率が1点台を記録するなど、強力な救援陣が揃う福岡ソフトバンクで信頼を勝ち取った。新進気鋭の右腕が短期決戦の中でチームを勢いに乗せられるか。

 一方、野手陣では牧原には期待せずにはいられない。昨季はシーズン中盤からスタメンに定着してチームをリーグ2位に導きながらも、自身はシーズン最終盤のケガででまさかの離脱。クライマックスシリーズの舞台には立つことができなかった。

 今季はその悔しさを晴らすべく自己最多の114試合に出場。主力に怪我が続出し、チームが苦しい状況にある中で、本職の二遊間だけでなく、外野も守るユーティリティーさを見せた。昨季、立つことができなかった首位・西武との決戦の舞台。まずはそこに至るために、楽天とのファーストステージに照準を絞ってくるだろう。

 プロ2年目の周東佑も自身初のクライマックスシリーズとなる。今季、念願の支配下登録を勝ち取ると4月6日の1軍登録以降、一度も登録を抹消されることなく1年間を戦い抜いた。主力に数多くの育成出身選手がいる中で、新たな「育成の星」として輝きを放った。

 持ち味はその驚異的ともいえる俊足だ。スタメン出場が少ない中で、主に代走としてリーグ5位の25盗塁を記録。盗塁成功率も.833と安定していた。短期決戦となるクライマックスシリーズの戦いでは、1点が試合の行方を左右することは言うまでもない。昨季は同じ育成出身の甲斐の「甲斐キャノン」がポストシーズンの話題を呼んだが、今度は周東の走力がクライマックスシリーズ突破に向けた重要な要素となるかもしれない。

 毎年数多くの劇的な展開を呼んでいるポストシーズンの戦い。今年はどのようなドラマを見ることができるのか。また、それを巻き起こすのは、やはり大舞台慣れした熟練の主力か、はたまた可能性十分の若手か、ついに大舞台の出番を勝ち取った苦労人か。大詰めに入った2019年シーズンの戦いから目が離せない。

(「パ・リーグ インサイト」吉田貴)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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