大山の一発で希望つないだ阪神、ミラクルに必要なこと 投手陣は「癖のチェックも」

巨人・原監督(左)、阪神・矢野監督【写真:Getty Images、荒川祐史】
巨人・原監督(左)、阪神・矢野監督【写真:Getty Images、荒川祐史】

阪神は大山の決勝ソロでようやく1勝、野口寿浩氏は巨人バッテリーが「中途半端」と指摘

■阪神 7-6 巨人(CS・11日・東京ドーム)

 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは阪神が11日に初勝利を挙げ、巨人のアドバンテージを含めて1勝3敗とした。第1、2戦と抑え込まれていた打線がようやく奮起。9回に大山の値千金の決勝ソロが飛び出し、7-6で制した。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、第2戦目までの阪神について「メンタル的なところが変わってしまうのか、CSファーストステージのDeNA戦であれだけ自信満々にやっていたのに、東京ドームに来ただけで全然別人になってしまっています。阪神の選手は窮屈そうにやっているというか、みんなのスケールが小さく見えますと」と話していたが、この第3戦については「ようやくレギュラーシーズン最後の6試合とか、CSファーストステージみたいに、ここというときの攻撃陣の集中力が出てきました」と分析。もっとも、大山の決勝弾については「巨人バッテリーが中途半端に見えました」と指摘した。

 6-6の同点で迎えた9回、大山は2球で追い込まれた後、外角のシュートを見送って1ボール2ストライクとすると、内角低めへのスライダーを捉え、右中間スタンドへ運んだ。この場面について、野口氏は「いい結果にはなりましたが、巨人バッテリーも中途半端でしたね。あの場面で打席に大山を迎えたときに、巨人バッテリーが一番注意しないといけないのがホームランでした。それなのに、あの中途半端な感じは理解し難いものがあります」と振り返る。どういうことか。

「小林の構えも中途半端でしたし、中川がそこになんとなく投げてしまった感じにも見えました。あそこにスライダーを投げるなら、もっと膝下とかに空振りを取りに行くような形でいかなければいけなかった球だと思います。そういう意図も構えから伝わらなかったですし、ほぼ構えたところくらいにボールは行っているので、バッテリーの意思疎通がどうだったのかなと疑問には感じました。

 例えば、ボール要求のサインはどこの球団にもあると思いますが、ボール要求のサインを出したら普通に構えればいいというわけではありません。ボール要求のサインを出したら、構えでもそれを示してあげないと。ストライクゾーンに構えたら、どれはどういうことだとなる。しっかりとそこをピッチャーが意図できるような構えをしてあげないといけない。それがちょっと中途半端だったなと思いました」

 もちろん、あの場面でスタンドに叩き込んだ大山も見事だったと野口氏は言う。「それをしっかり捉えた大山がよく打ったというのは当然ですね」。レギュラーシーズン終盤から驚異的な粘りでCSファイナルステージに駒を進めてきた阪神の希望をつなぐ一発となった。

「阪神の各ピッチャーはしっかりと映像を見る必要がある」

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