ファンの新規開拓に尽力 プロ野球を究極のエンターテインメントに【パお仕事名鑑 Vol.8】
すさまじいスピード感「怖いといえば怖い、楽しいといえば楽しい」
「入社したのはエージェントの紹介がきっかけでした。当時は野球のことはよく知りませんでしたが、以前、帰省した日が優勝決定の日と重なって、福岡の街中がすごく盛り上がっていたのが印象的でした。その当時、東京で働いていましたが、福岡は出身地でもあり、改めてプロ野球のことや球団の取り組みなどを調べてみると、ユニークな会社だなという好奇心が湧き、『ここでやってみたい』という気持ちが強くなりました」
野球に関わりたいというのではなく、“ユニークな会社”というところに惹かれた若山さん。入社してみると大手メーカーとプロ野球の球団ではカルチャーが想像以上に違っていた。
「メーカーは工場が文化のベースにあるのか、時間の使い方や、会社に対して承認を取るプロセスやフォーマットなど全部かっちり決まっていました。それがホークスに入ると、人それぞれ様々で、とても自由を許されている会社だと感じました。当時はホークスが『福岡ソフトバンクホークス』になって3年目。たくさんの人が転職で来ていたのだろうと思いますが、多様な文化が混ざっていましたね」
さらに若山さんはこう続けた。「アウトプットの距離感の近さと言うのでしょうか。メーカーで働いていた時には、私は、自分の仕事のアウトプットがお客様までつながるイメージがなかなか持てなかったんです。ホークス入社当初はファンクラブの担当をしていたのですが、例えば、私が告知を作成して、それを広報がチェックして、OKとなったら何十万人という会員にメールですぐに飛んでいく。今考えれば、ホークスではそれが当たり前で普通なんですけど、『え、もう行っちゃっていいんだ』みたいな」。
他の企業ならいくつもの稟議の判子が必要ではないかと感じるものがダイレクトにつながる。それが「怖いといえば怖い、楽しいといえば楽しい」。それは今の業務でも同様。新しく仕掛けようとした企画が、スピード感をもってお客様に伝わっていく。
「会社、仕事は、面白いし飽きない。新入社員や転職したばかりの人は慣れるまでは大変だろうなと思います。ただ、これをやりたいという目的、強い意思を持って、そこに向けて自分で道筋をつけて粘り強く進めていけるタイプの方は、きっと成果を出せるのではないかと。私は昔からデザインやクリエイティブなことに興味を持っていて、『人と違うことをしたいな』、『違うアウトプットをしたいな』と思っていて、それは今も自分なりの切り口になっていると思います」
成功事例を踏襲しつつも少しずつ変化を持たせていく動員企画、今までにない驚きのイベントプラン、本拠地のファシリティの可能性を生かした新しい演出。こうした施策の裏側には、自分の思いを実現するという高いモチベーションがある。「自分のやりたいことを実現したい」「こんな野球チームにしていきたい」。それは何でもいいと若山さんは言う。
最後に、今後の施策に向けて若山さんが今思うことは?
「野球を好きな人はもちろん、よく知らない、あるいは初めて来場した方でも楽しめるように、もっとエンターテインメントを追求していきたいですね。世の中には、たくさんの優れたエンターテインメントコンテンツがあるので、自分たちの力のみで頑張るだけではなく、それをどんどん取り込んでいきたいです。とんがり過ぎることなく、退屈されることなく、野球ファンを中心とした多くの人に楽しんでいただけるように、バランスを見極めながらエンターテインメントを進化させていきたいと思っています」と若山さんは力を込めた。
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(「パ・リーグ インサイト」岩瀬大二)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)