FA宣言の鷹・福田はここ2年は年間30本塁打ペース データ上はどの球団が最適か

中日・ヤクルト外野陣の成績【画像提供:DELTA】
中日・ヤクルト外野陣の成績【画像提供:DELTA】

外野手が高齢化するヤクルトは適した球団の一つ

 セ・リーグの中日、ヤクルトについても検討する。中日は今オフに大島洋平との複数年契約を締結。平田良介も、2016年オフに5年契約を結んだという報道が確かであるならば、契約をあと2年残している。仮にソイロ・アルモンテの残留に失敗したとしても、左翼には福田永将もおり、来季に関しては十分な戦力が揃っている。ただ福田永のFA権取得が近づいているため、その退団リスクを軽減する狙いがあるのかもしれない。しかし、やはりさきほど検討した西武に比べると福田秀の加入効果は大きくなさそうだ。

 ヤクルトは今季、右翼が大きな弱点になっていたうえ、左翼を守るウラディミール・バレンティンが契約切れ。仮にバレンティンとの契約に成功しても、青木宣親、雄平を加えたレギュラー外野手3名は全員が35歳以上とかなり高齢化している。加齢による衰えのリスクは極めて大きいため、特に中長期的な福田秀の需要は非常に大きい。さきほどの西武に近い補強効果があるのではないだろうか。

 今回、交渉報道が出ていないため紹介はしなかったが、外野手が高齢化している阪神、中堅の穴を長年埋めることができていないオリックスも、福田秀加入により大きな効果が見込める球団だ。積極的に獲得に動いてもよかったようには見える。

 交渉が報道された5球団を検討した結果、福田秀は、西武、ヤクルトに加入した場合に最も効果が大きくなりそうなことがわかった。どちらを最適とするかは悩ましいところだ。ただヤクルトの場合はファームで素晴らしい実績のある塩見泰隆がシーズン終盤に上位打線に定着し、一定の結果を残した。塩見が今後これをどれだけ継続できるかは不透明だが、来季外野の一枠を埋める可能性はありそうだ。確実に出場機会を確保できるという意味で、西武のほうが福田秀加入の効果が大きいと考えた。福田秀獲得の最適球団は西武としたい。

(DELTA)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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