楽天寮長は異色の経歴の持ち主 「日々の変化を見るのは大切」【パお仕事名鑑Vol.13】

人間としての成長を願う「いい選手になるためには、まずいい人間であることが大切」

「約束を守る、礼儀を身につける。人間としての成長の部分を教えることです。いい選手になるためには、まずいい人間であることが大切なんです」

 指導すると言っても、中村さんはそれを押し付けることはしない。

「怒らない。でも褒めすぎてもいけない。そう考えて取り組んでいます」

 中村さんは、寮長の仕事をしていくにあたって「怒らない」ことをモットーにしている。それは決して甘やかすという意味ではない。約束を守らないことであったり、人としての部分でしっかりしていない選手には厳しい表情になる。それは「君のことを私はしっかり考えている」という表れだ。そして入寮している選手は様々なプロフィールを持ってやってくる。即戦力を期待される選手、社会人を経てくる「大人」の選手から高校を卒業して初めて親元を離れる選手まで。

「そうなんです。同じことをいうのでも使い分けは必要です。表情をすぐに察する選手もいれば、まだ年齢的にそういう経験が少なくて、なかなか意味が伝わらない選手もいますから。でも、これだけは言えます。扱いは、すべて同じ。ドラフト1位でも育成でも、みんな同じ、育てたい大切な選手です」

 1月にはまた新人が11人入寮する予定。期待の即戦力選手、育成の高校生に、海外大を経て来る選手など、プロフィールは実に多彩だ。

「それぞれどのように接するかは決めていません。私も楽しみにしていますよ」

 笑顔の中村さん。寮長の職につき、1年を経て「この仕事が楽しい」と言う。それは、失敗も含めて、新しい挑戦ができる環境であること。その働きがい。そう、選手も多彩なプロフィールをもって入寮してくるが、そもそも中村さん自身が異色の経歴の持ち主。寮長という仕事は新しい挑戦の日々。それは中村さんにとっても、球団や球界における寮長という役割においてもだ。

名電ではソフトバンクの工藤公康監督と同級生、ドラフト3位で日本ハムに入団し引退後は審判に

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