10度の手術、縫合は191針に… 元燕・館山が語る「人体実験」から得た気付きと経験と
独占インタビュー第2回、引退後にもあえて10度目の手術をした真意とは?
ヤクルトで16年の現役生活を終え、来季から楽天イーグルスの2軍投手コーチとなる館山昌平氏がFull-Countのインタビューに応じた。第2回は現役時代に175針を縫った怪我との闘いについて。館山氏の手術がなぜ、クローズアップされてきたのか。引退後に右肘の手術をしてまで、何を確認したかったのか、その真意に迫ります。
――何度も手術をした選手というのはたくさんいますが、特に館山投手は手術の話を多くの方から聞かれてきたと思います。
「まず、そもそもコンタクトスポーツじゃないのに、これだけ腕を振って、怪我をするということがなかなかないですからね。ただ、それは、全力でやってきたからと言えるかもしれないです」
――以前、投手であれば『自分の腕が壊れてでも、チームのために必ずアウトを取りたい』と思うと話していました。「全力」という部分にかける思いのすごさを感じていました。
「代わりはいくらでもいるという立ち位置で、やっぱり後悔はしたくないし、妥協もしたくないので」
――怪我や、リハビリの過程で不安に思っていたことはありますか? 取材現場でお会いした時、表情や様子を見て、なかなか、聞きたいことを聞けない自分がいました。
「戻ってきたときの姿が、前と変わってしまうというのは選手にとってプレッシャーなんです。自分が前と違うというところが、周りにその通りに映っているんじゃないかとか……。でも、同じような姿で戻っていれば、そこは何とも思わないじゃないですか。だから……」
――だから……?
「だからこそ、また(戻ろうとするために)手術を受けるし、また怪我もするし、肘が飛ぶ。ただ、怪我で(野球を)できなくなったのも事実です。肘が飛ばなくなったのも事実。肘が飛んでもいいくらいの覚悟で腕を振っても、その出力が少しずつ出なくなってきているというのも事実です。でも、どんな手術を受けても、ちゃんとマウンドには戻ってきました。これはこれからの子どもたちに『何も怖いことはないんだよ』と言ってあげたいです」
――現役を終えてからの、10回目の手術はどういう手術を受けたのですか?
「(自分の肘が)どうだったんだろうっていう確認です。何度も、縫ったり、切ったり、貼ったり、打ち込んだり、いろいろやっているので。(これまでの手術では)終わった時には閉じて終わっちゃうから、答え合わせができない。そこをちゃんと、どうだったんだろう、っていう確認と、今後、投げることにはあまり関係なく、トレーニングするにあたっては邪魔な骨を取ったりしました。きれいに筋肉をつけるためにはいらないものだから取りました(笑)」
――筋肉トレーニングのために、骨の除去をするなんて、驚きです。
「実はジムのトレーナーというのも、憧れる職業の一つなんです。でも、トレーナーの資格を取るには、実技テストがあって、3種目のうち2種目が、その骨があることによってきれいに見えないフォームなので、そこに関してはクリアにしておきたいなと」