パ・リーグ“与死球王”は? 過去10年間から見える制球力、投球スタイルとの関連
与死球率トップ3の投手たちを比べてみると、その投球スタイルにはそれぞれ違いが
与死球という指標は、その性質上、多くのイニングを投げている投手のほうが大きな数字を記録しやすい。そこで、別の角度から各投手が出した死球の多さを検証するために、9イニングを投げた場合に与える四球の数を示した「与四球率」と同じ要領で、各年度トップの死球数を記録した投手たちの「与死球率」を算出した。先述の条件を満たした投手たちの、与死球率のランキングは以下の通りだ。
1位:小石博孝(2016)
与死球率:1.567
2位:高橋光成(2019)
与死球率:1.18
3位:西勇輝(2011)
与死球率:1.102
4位:榎田大樹(2018)
与死球率:.950
5位:中田賢一(2017)
与死球率:.935
6位:西勇輝(2013)
与死球率:.759
7位:牧田和久(2015)
与死球率:.719
8位:木佐貫洋(2010)
与死球率:.671
9位:牧田和久(2014)
与死球率:.633
10位:吉川光夫(2015)
与死球率:.621
11位:山田大樹(2012)
与死球率:.545
12位:牧田和久(2012)
与死球率:.455
与死球率が1.00を超えたのは、2016年の小石、2019年の高橋光、2011年の西の3人となった。基本的にシュート系のボールを使うことは多くない高橋光は2019年の与四球率が3.419と、同年のリーグ平均の与四球率(2.571)を上回っていた。一方、シュートを大きな武器とする西は、2011年の与四球率が1.79と優れた制球力を示しており、それぞれの投球スタイルの違いが数字にも表れている。
全体でもトップの与死球率を記録した2016年の小石は、50試合で74.2イニングという投球回数からもわかる通り、リリーフとして登板を重ねた。そのため、先発投手に比べて投球イニングは少なくなったが、与えた13個という死球の数は今回取り上げた投手たちの中でも3位タイと、先発投手と遜色のない多さに。与四球率も4.70とやや不安定な数字が残っており、小石にとっては総じて制球に苦しんだシーズンだったといえるか。
今回ランクインした投手の内訳は先発投手が大半となっていたが、リリーフ専任だった2012年のウィリアムス(与死球率1.488)と、先発とリリーフの双方で活躍した2018年の石川柊太(与死球率.919)のように、小石と同じく、当該シーズン中にリリーフとして多く登板した投手も存在。両者ともやはり与死球率は高くなっており、イニング数との相関性があらためて示されている。