ロッテ河合オーナー代行が回顧する故重光氏の“預言” 「突然『野球もちゃんとやれ』と」
企業チームでありながら地元・千葉に根差した地域密着型を実現
球団のオーナーは「ロッテ」という企業ではあるが、本拠地を置く千葉に深く根差した地域密着のチーム作りにも成功している。千葉との協力体制がさらに加速したのは、やはり2005年の日本一がきっかけだったという。
「優勝するということは、いかにインパクトが強くて影響力を持っているかということ。マリンスタジアムで優勝パレードをすれば、それがニュース映像として流れるわけですから、千葉を含めみんながその価値を理解したと思うんですよね。そこで、チームと自治体と一緒になって何か地域活性を図れないかと、選手たちが積極的に学校訪問したり、野球教室を開いたり、震災があれば自分たちにできることをしようと行動に移したり。千葉とはいい形で向き合えていると思います」
ロッテを支えるファン層の大きな特徴の1つは、女の子ファンの存在にある。幼稚園・保育園から中高生まで千葉に育つ女の子のハートを掴んでいるのが、チアパフォーマー「M☆Splash!!」だ。2004年に結成され、今季で17シーズン目を迎える「M☆Splash!!」は球場内にはとどまらず、千葉県内各地のイベントにも参加。現役メンバーやOGが講師を務める「マリーンズ・ダンスアカデミー」は、「M☆Splash!!」に憧れる女の子たちで溢れる。
「試合前に行われるM☆Splash!!のステージを、最前列で見ているのは小さい女の子たちなんですよ。一緒になって踊ったりしている。彼女たちにしてみると、野球選手よりもチアリーダーのお姉さんの方がスターなんです。アカデミーに入っている子たちは、週末や休日になると実際に試合で踊れるチャンスもある。そういうことも含めて、昔のようにお父さんが男の子を連れてくるだけではなく、お母さんが女の子を連れてくる球場の先駆けになっている部分はあるんじゃないかと思います。それも2005年頃から大きく変わった点ですね」
31年ぶりの日本一に輝いた2005年は、チームの歴史に「優勝」の二文字を刻んだだけではなく、地域との在り方、ファンとの関係など、数多くの側面に変化を与えたエポックメイキング的なシーズンになった。この年の始めに突如として「野球をちゃんとやれ」と指示した重光氏には、やはり状況の潮目のようなものを感じ取っていたのかもしれない。
(第2回に続く)
(佐藤直子 / Naoko Sato)