21世紀以降春夏通じて準優勝は8度… 悲願の全国制覇に挑む東北勢の高校野球
吉田輝星を擁する金足農は2018年夏、進撃を続けて決勝に進出した
2015年夏の決勝では、平沢大河ら(現ロッテ)を擁する仙台育英(宮城)が東海大相模(神奈川)と対戦。平沢は東海大相模の左腕、小笠原慎之助(現中日)から2安打したものの6-10で敗れた。
2018年夏では、2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭に対し、金足農(秋田)の吉田輝星(現日本ハム)が決勝で立ち向かった。予選から準決勝まで1人で投げてきた吉田だったが、大阪桐蔭打線に5回12失点と打ち込まれた。吉田の過酷な登板に「球数制限」の議論が高まった。
2019年12月に法政大学で行われた「日本野球科学研究会第7回大会」での秋田県教育庁保健体育課、野中仁史氏の発表によれば、21世紀以降、東北勢の躍進が目立つ中で、不振が続いた秋田県勢について秋田県議会でも議題に上った。そこで秋田県では国学院大学准教授でバイオメカニクス研究の第一人者である神事努氏ら有識者を招聘し、県内の有望な選手を育成するプロジェクトを立ち上げた。金足農の吉田輝星の活躍は、こうした県を挙げた育成計画のたまものだったという。
甲子園には出場していないが、大船渡(岩手)の佐々木朗希(現ロッテ)ら逸材の輩出も続く。東北勢のこうした熱意は、やがて実を結ぶだろう。優勝旗が白河の関を越えるのは、それほど遠い未来ではないのではないか。