メキシカンリーグ開幕延期はNPBにも影響? 冬季リーグの選手派遣問題が浮上

昨季はDeNA関根、濱矢がウインターリーグに参戦していた

 そうなると影響が出てくるのが、選手の派遣を検討している日本の球団だ。同リーグには昨季、DeNAが関根大気外野手と濱矢廣大投手を派遣。17、18年には乙坂智外野手もプレーした。また楽天も16年に森雄大投手、17年にオコエ瑠偉外野手、ルシアノ・フェルナンド外野手を派遣している。メキシコのウインターリーグはメジャーリーガーも多く参加するドミニカ共和国よりは少しレベルは落ちるが、プエルトリコよりもレベルが高く、翌年1軍での活躍を目指す選手にとっては格好の修行場所と言われている。だが、日本の場合、球団側が選手に対して拘束力を持てるのは11月末までで、12月以降は選手が希望する形でなければ試合に出場させることはできない。また、仮にリーグの開幕が例年よりも遅れるとなると、出場できる試合数も限られてしまうため、派遣自体を中止したり、選手の派遣先を他国に変更する可能性も出てくるのだ。

 メキシコでは、まだまだ新型コロナウイルスの感染は落ち着きそうにない。ロペスオブラドール大統領は3月30日、非常事態宣言を出し、国民に対して4月30日までの外出自粛や50人以上が集まらないよう要請した。だが、感染者数は増える一方で、この日、5月30日までの延長が発表された。スーパーや薬局など、生活に必要な店以外は閉店を余儀なくされており、首都メキシコシティでは地下鉄に乗る際のマスクを義務化。また一部の州では家庭内DV防止のために酒の販売が禁止されている。

 一方、メキシカンリーグは3月14日に、4月6日に予定されていた開幕を5月11日に延期することと、オープン戦全試合の中止と発表。だが、その後の感染状況が改善されないことから、5月11日の開幕も断念し、無期限延期とすることを4月10日に発表した。現在、全16球団ともチームを解散している状態。日本からは元巨人、西武の高木勇人投手がレオネス・デ・ユカタン、元ルートインBCリーグ武蔵の安河内駿介投手がヘネラレス・デ・ドゥランゴのキャンプに参加していたが、高木は本拠地メリダで、安河内は日本に帰国し、それぞれ個人で練習を続けている。

 夏のリーグ開幕は再びキャンプを再開し、オープン戦、あるいは練習試合を経てという流れを想定すると、最短でも6月中旬以降となりそう。メキシコでは16日現在、新型コロナウイルス感染者数は6297人、死者は486人と、数字は増える一方で、政府は国内での収束時期を6月25日と予想している。そのため、リーグ関係者からは「この状況だと、開幕できるのは早くても7月以降になるのではないか」という声も出始めている。

 まだ夏のリーグさえ開幕時期が不透明な状況にあるメキシコ。世界的にも珍しい、夏冬2リーグ開催国ならではの問題だが、選手派遣を検討している日本の球団にとっては、今後の状況によって臨機応変な対応が求められることになりそうだ。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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