カッコいいオリックスの場内ビジョン 選手スタッフ一体の撮影舞台裏に潜入
全選手の撮影で10日間。プロモーションや演出のパイオニアだからこそのこだわり
1月下旬、ところは舞洲バファローズスタジアム隣接の室内練習場。この練習場内に特設のスタジオを用意し、選手のビジュアルのスチール撮影とムービー撮影を行う。全選手撮り終えるのに10日間。選手ひとりひとり少しずつ違う内容の撮影が行われる。
ビジョン制作に携わるオリックス野球クラブ・宣伝グループの木寺一樹さんは「他球団から移籍した選手は『えっ撮影にこんな時間かかるんですか?』『何に使うんですか?』とびっくりされますね。でも、できあがりを見て『あれカッコよかったですね』と納得してくれる。元からいる選手は『今年もこの季節か』という感じでしょうか。ほんまに選手がよく協力してくれています」と語る。
木寺さんは「そもそも、オリックスはいろいろなプロモーションや演出のパイオニアと言われています」と胸を張る。今では当然のように全球団が取り入れている「選手の登場曲」や、チャンス時の演出などもオリックス球団が走りだったという。だからこそ毎年こだわった新作を出していきたいという思いもあるのだろう。
そして、選手にとっても試合中にビジョンを目にすると気分が高まる。こうしたモチベーションを上げるために、演出は極力一緒に行っていくのだという。さらに、撮った映像は必ず選手本人が確認をして修正を施していく。登場する選手本人が映像の制作に携わっていくことで、選手もシーズン通して見るこれらの映像に愛着が沸くのだろう。
この日撮影を行っていたのは、福田周平内野手。スチール、チャンスムービー、スタメン発表時のオープニングムービーの撮影に同行した。まずはスチール撮影。メイクをしてもらいすぐにフォトグラファーの前に立つ。正対、あおり、振り返り、おなじみの「Bポーズ」など細かくフォトグラファーから指示が飛ぶも、淡々とこなす。途切れることなくシャッター音が鳴り響き、撮ったそのカット数は18にもおよんだ。「カット数も他球団さんに比べて多いと思います」と木寺さん。この写真は、ビジョンだけでなく宣伝販促物、プロフィールなど、あらゆる場面で使用される。
スチール撮影が終わると流れるようにムービー撮影へ。まずは福田選手の登場曲「バリバリ最強No.1」のアニメ「地獄先生ぬ~べ~」をオマージュしたチャンスムービーの撮影からだ。
映像ディレクターの(株)ナナイロ・永友伶奈さんは「昨年は、(鬼の手の)グローブを外すだけでしたが、今年はもう少しポーズを増やしています」と進化したムービーになることを明かした。グローブを外した後の表情や、決めのポーズなど、より複雑な演出になりファンにとっては楽しみが増えたといえる。
福田は演出の意図や撮影カットをすぐに理解し、撮影にも協力的なため進行が早い。左から右からカメラを向けては、次々とOKテイクとなっていく。「(福田選手は)いい役者さんでした」と永友さんも満足の撮れ高だったようだ。