「銚子高の銚子君」はプロ→社会人から大学指導者へ 元大洋・銚子利夫氏の今
東京六大学野球リーグも開幕延期、現在は8月に開催を検討
昨年12月、堀井監督が慶大監督に転じたことから、銚子さんもJR東日本を離れ、母校・法大の助監督に就任した。川崎市の第1合宿所に住み込み、単身赴任。新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、妻と次男が住む横浜市の自宅にはこの1か月以上帰っていない。
4月11日開幕予定だった東京六大学の春季リーグ戦は、8月に延期した上、通常の「2戦先勝方式の総当たり勝ち点制」を断念し、異例の1試合総当たり制に変更して行う方針だ。法大野球部も活動を停止し、寮生の約3分の2が自宅に帰省。残った選手もグラウンドや室内練習場の使用が禁止されていることから、ランニング、キャッチボール、素振り、スポンジのボールを打つ程度の練習しかできない。毎日マネージャーが全選手の体温、練習内容をチェックし、集約した書類には銚子さんも目を通している。「特に投手の肩の出来が心配です。公式戦の数が減れば、4年生の就職に響いてくる可能性がある。早く試合をやらせたいのが本音です」と気遣う。
ベイスターズで13年、JR東日本で9年、そして法大へと、指導者として多彩なキャリアを積んできた。「これまで勉強させていただいた知識、経験を落とし込んでいきたいです。一方で、大学野球はあくまで教育の一環ですから、規律を重んじ、人間形成につながるように掃除とか整理整頓とか、細かいことを含めて厳しく指導していくつもりです。20歳前後の部員たちが『うるせえな』と感じることは想像がつきますし、僕自身も在学中はそうでしたが、後々規則正しい行動が身についてよかったと思えるはずです」と意欲満々だ。
「僕はずっと1年契約の世界でやってきたので、部員たちにも1日1日を大切にして、いまできることを一生懸命やってほしい」と付け加えた。かつて4番・投手・主将として自ら甲子園初出場の原動力となった“銚子高校の銚子君”は、いまやベテラン指導者として若い学生たちの背中を見つめている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)