分業制で多くなった? パ・リーグ規定投球回未満の“2桁勝利”を振り返る
該当者の人数は、各シーズンごとに大きくばらつく
まずは、直近10年間のパ・リーグで、規定投球回未到達ながらシーズン2桁勝利を記録した投手たちを紹介していきたい。その結果は、表の通りとなっている。
以上のように、大半のシーズンにおいては、0~2名と決して多くはない数字にとどまっていた。中には、2013年と2017年のように2桁勝利を挙げた投手が全て規定投球回に到達したシーズンも存在。2桁勝利を挙げた投手の大半は、同時に規定投球回にも到達していたと考えてよさそうだ。
また、攝津正氏は、2014年から2年連続で規定投球回未到達での2桁勝利を記録。この2年間の勝利数と投球回は全く同じで、敗戦数も1つ違いとかなり近似した数字を残していた。17勝・防御率1.91で沢村賞を受賞した2012年の活躍を筆頭に、2011年に14勝、2013年に15勝を挙げ、ホークスのエースとして活躍した攝津氏ならではのピッチングのうまさが、投球回が少ない年にも安定して2桁勝利に到達できた理由だろうか。
また、ほぼリリーフとしての登板だけで10勝を挙げて新人王に輝いた2010年の榊原氏をはじめ、シーズン途中で抑えから先発に転向した2016年の増井投手や、先発とリリーフを兼任しながら2桁勝利を挙げた2016年の高梨投手と2018年の石川投手のように、該当シーズンにリリーフとしての登板が少なくなかったがゆえに、規定投球回に到達しなかったケースも。こういった例も、投手分業が進みつつあるからこその現象と言えそうだ。
また、今回取り上げた16名の投手は全て、当該シーズンの敗戦数が1桁にとどまっていることも特徴的だ。上記の投手たちは、いわば登板数やイニング数が少ない中で効率的に白星を重ねてきた。そのためには高い勝率を維持しなければならないのは自明であり、各投手の敗戦数の少なさは、それだけ効率よく勝ち星を重ねてきたことに証でもあるだろう。