首位狙う楽天、好調の要因は? 元コーチが探る投打の鍵と三木監督の“非常識力”
三木監督に感じた「今までの球界の常識というものを逆手に取ったような作戦」
――今シーズンから就任した三木肇監督を、どう見ていますか?
「僕は昨年、ヤクルトの2軍チーフコーチだったので、楽天の2軍監督だった三木監督のやり方は対戦時にいろいろと見させてもらいました。三木監督は今まで球界ではあまり見られなかったようなことをいろいろと取り入れているなと感じましたね。例えば、外野の前進守備のシフトにしても、どこのチームもやっていたことではあるんですけど、三木監督のそれは今までの比じゃないくらい極端なものでしたね。『こんなに前まで来るの?』ってくらい前に来るんですよ。
1軍の試合でも、7月31日のロッテ戦で初回2死一、三塁、バッター浅村の場面でダブルスチールを仕掛けました。打点のタイトルがかかっている選手の打席で、ですよ。結局ダブルスチールは失敗して点が入らなかったですけど、今までの野球界の常識で言うと4番バッターでダブルスチールというのは普通はないと思ってしまうんですよね。結果が伴わないとあれこれ言われますけど、逆に『これはないだろう』と言われるところだからこそ、三木監督にしてみればチャンスだと捉えていると思います。そういうところが2軍の試合でも随所で見られました。今までの球界の常識というものを逆手に取ったような作戦ですね」
――野手陣についてはどう見ていますか?
「攻撃に関してはある程度想定内ですね。非常に難度の高い攻撃をしています。ここまでは浅村の活躍が非常に目立ちますが、茂木やロメロなどの中心バッターが機能していることが大きいですね。1人だけではこんなに点が取れないですから。浅村の前後を打つバッターの出塁率が高く、それで浅村にチャンスで回ってくる回数も多いです。彼自身も確率よく得点圏のランナーを返している。そういうところが浅村自身の成績にも出ているし、チームの攻撃力、成績にも大きく出ていますよね」
――橋上さんは西武のコーチ時代に浅村選手の指導をされていましたが、どのような選手ですか?
「浅村は点を取るためのバッティングが頭の中に入っている選手。常にヒットを打たなければとか、強振しなければという考えではなく、例えばランナー3塁でセカンドが下がって守っていたらセカンドゴロを打って1点取るということをします。点を取るための打撃というか、状況に応じた打撃をよく分かっている。打点王のタイトルを取ったこともあるのは、そういうところだと思いますね」
――今シーズンはステフェン・ロメロ選手や鈴木大地選手などの補強も効いています。
「的確に補強しているし、獲得した選手が機能しています。特に、ロメロの活躍が大きいですね」