プロ野球球団がなぜ“読書”なのか? 日本ハムが北海道で読書推進活動を続ける理由
日本ハムの活動の根底にある「次の世代への継承」の思い
オリジナル絵本は好評を博して第3弾まで制作された。北海道の地元TV局では選手が出演する読み聞かせ映像が放送され、選手による読み聞かせイベントには子どもを連れたたくさんのファンが集まった。さらに、星の世界を舞台にしたオリジナル絵本第3弾『もりのやきゅうちーむふぁいたーず ほしのせかいへ』は、2019年に札幌市青少年科学館で番組プログラムが組まれ、プラネタリウムで半年間投影された。
「自分に適した興味・関心は何なのか、ふと手に取った一冊から気付くことがあるかも知れません。あらゆる時代のあらゆる人物に出会うことができ、行ったことのない世界にも行けた気分になるなど、読書の楽しみは人それぞれ挙げればきりがないほど。そうした奥深さにぜひ触れていただきたいですね」
学力向上のためだけではなく、読書を通じて知識を深め、豊かな心をはぐくんでほしいという思いと、これまで球団が行なってきた地域に根ざす活動が実を結び、一冊の絵本からここまでの広がりにつながったのではないだろうか。
最後に、読書促進活動の今後について見田さんにうかがった。
「スマートフォンやタブレットなどの情報端末が身近にある状況はさらに加速するかもしれません。一方で読書は決して堅苦しいものではないというメッセージは、この先も形を変えながら発し続け、次世代にこの文化を残していくつもりです」
「今年からファイターズは老朽化した少年野球場を改修してプレー環境を整備する「ダイヤモンド・ブラッシュ」プロジェクト(https://www.fighters.co.jp/expansion/csr/diamond_brush/)を開始し、北海道内の3球場を修繕しました。我々の活動の根底にあるのは、次の世代への継承。スポーツには人を引きつけ地域を元気にし、文化を育てる力があると信じて、この先も北海道の未来が明るいものになるよう取り組んでいきたいと思います」
北海道の未来を想い、共に思案をし、思いを形にしていくことでファイターズはプロ野球をより魅力的なコンテンツへと進化させ、ファンに届けている。何を生み出し何を残していくか、プロ野球界に閉じず、多方面に目を向け挑戦を続けるファイターズの今後の取り組みに、これからも期待したい。
(「パ・リーグ インサイト」池田紗里)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)