ひとつ屋根の下で生まれた衝突と絆 星槎国際湘南が最後まで貫いた「必笑」の夏

星槎国際湘南・土屋恵三郎監督【写真提供:フジテレビ】
星槎国際湘南・土屋恵三郎監督【写真提供:フジテレビ】

互いに顔を合わせる環境だからこそ、全力でぶつかり本音を語り合った

 佐々木部長も「生徒たちが目標を失った喪失感は大きかった。面談をしていても、もういいかなという3年生がいたのは事実」と認めるが、一方でレギュラーメンバーも大会が近づくにつれて焦りが見えたと副主将の茂木陸は言う。

「幹部と他の選手の意見の食い違いが多くあって、自分たちはこうしてほしい、幹部じゃない人も幹部にこうしてほしいというのがあった。何もできない状況の中で、そういうところの焦りから先走ってしまったことが多くありました」

 お互いの本音をぶつけ合い、一丸となって臨んだ最後の夏は3年生29人全員がベンチ入り。濱田主将も「2年半積み重ねた寮生活で、神奈川一のチーム力を築き上げてきた。楽しかったです」と笑顔をこぼした。

 コロナ禍でもバラバラになることなく、ミーティングを重ねてきたからこその衝突と和解。そんな星槎国際湘南については、フジテレビ系「S-PARK」のドキュメンタリー企画「2020夏 これが、僕らの甲子園」(30日放送)でも、高校で野球を辞める三塁コーチャー、吉浜良真選手の葛藤に密着している。集団生活が育む高校野球の人間形成が、この先も途絶えることなく続くことを願いたい。

(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)

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