阪神藤浪の救援は「プラスにしかならない」 阪神OBが注目したプロ初ホールド後の笑顔
救援でしか味わえない醍醐味も「今後のために経験しておいて損はない」
この日、今季リリーフとして3試合目のマウンドに立った藤浪は、先頭の阿部寿樹に対する2球目で159キロをマーク。フルカウントから7球目で四球を与えたが、続く木下拓哉、溝脇隼人、大島洋平を3者連続で二塁ゴロに仕留め、二塁を踏ませなかった。慣れないリリーフの役目をしっかり果たした右腕の顔には、自然と笑顔が浮かんだ。
「僕も先発からリリーフに転向した時にそうでしたが、『1イニングくらい毎日投げたるよ』と思っていると思いますよ(笑)。藤浪投手本人はやっぱり1イニングでは物足りないくらいでしょう。今回はあくまで一時的措置。例えば、新しい監督が来た時に、かつて広島で大野(豊)さんや佐々岡(真司)さんが抑えをやった時のように、シーズン最初に『今年は抑えでいくぞ』と指名されて挑戦するなら話は別です。60試合登板で40セーブ挙げろと言われれば、意気に思ってやるでしょうし、やる価値もありますから」
阪神時代は先発だった藪氏だが、2005年に米アスレチックスへ移籍するとリリーフに転向。日本では知り得なかった救援投手にしか味わえない醍醐味を知ったという。
「例えば、先頭打者にフォアボールを与えないとか、前の投手が残した走者をホームに返さないとか、こういう部分はすべて評価に繋がること。そこを意識しながらマウンドに上がれば、自分の勉強にもなる。前の投手が出した走者を返さずにベンチに戻ってくれば、リリーバー同士の絆が深まる。絶体絶命のピンチで先発が降板した後、任されたマウンドを無失点に抑える。これはこれで醍醐味ですからね。今後のためにも経験しておいて損はないでしょう」
藤浪が再び先発投手として花を咲かせることを願う藪氏だが、そのためにも今しか経験し得ない救援という役目が、藤浪本人はもちろんチームの状況を好転させるきっかけになる可能性は十分だ。大逆転優勝を狙うチームは13連戦の真っ只中。藤浪の活躍は必要不可欠だ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)