阪神、首位独走の巨人との差はどこにあるのか? 球団OB辛口指摘「守備力の差と…」
振り返れば迫る3位DeNA、4位中日の姿「2位から4位までは全然分からない」
藪氏は故・野村克也氏の言葉を借りて、矢野監督は「無難な野球をする」と表現する。その好例が、初回無死二塁の場面で、2番・北條史也内野手に送りバントをさせた場面だという。
「首位を追う立場の阪神は、攻めて勝ちにいく野球をしないといけない。でも、初回ノーアウト、ランナー二塁で送りバントをしては、1点は取れるかもしれないけど、それ以上は望めません。9回にその攻め方だったら分かりますが、序盤は攻めるべきでしょう。大量点を狙いにいかない無難な野球で、20年前に僕らが現役だった頃の野球に見えてしまいます。負けられないという気持ちが無難な選択をさせるのかもしれませんが、それでは首位にいるチームは全然怖さを感じない。何をするのか分からないと思わせないと」
12.5ゲーム差を少しでも縮めるためには、この日から始まった13連戦で1つでも多くの勝ち星を挙げる必要がある。藪氏は、中でも巨人4連戦は全勝の意気込みを求める。
「巨人との直接対決は残り8試合ありますが、全部勝ってようやく今年は対戦成績が五分になる。今週末の4連戦で『1勝すれば大丈夫』と、巨人は気分は楽でしょう。2勝2敗でもゲーム差は縮まらない。4戦全勝を目指さないといけません」
首位を走る巨人の背中から目を離さないことは必要だが、ふと振り返ると、そこには1ゲーム差で3位のDeNA、3.5ゲーム差で4位の中日が迫っている。藪氏は「2位から4位までは全然分からない」と注意を促す。
「初戦は中日に勝ったけれど、2戦目から連敗すれば中日と1.5ゲーム差に縮まってしまいます。こうなったら、下手したら4位まで落ちてしまう可能性もある。久々のAクラスを狙う中日は、まず30日に大野雄大投手で連敗阻止を狙うでしょう。阪神はそこで勝ちきれるかどうか。前を見ながら、でも後ろにも注意を払いつつ、13連戦を全勝でいくくらいの気持ちで勝負に出てほしいですね」
今季はクライマックスシリーズがないセ・リーグの最終盤を、より面白く見応えのあるレースにするためにも、2位阪神の奮起が期待される。
(佐藤直子 / Naoko Sato)