DeNAオープナー成功も連敗… チーム打率トップ、2位の得点&本塁打でなぜ勝てない?
先発の武藤が3回途中で降板も継投した砂田が“火消し”
■ヤクルト 2-0 DeNA(1日・横浜)
DeNAは1日、横浜スタジアムで行われたヤクルト戦に0-2で敗れた。9月上旬に独立リーグからNPB復帰を果たした相手先発の歳内を攻略できずに完封負け。一方で、今季3度目のオープナーを採用した投手陣は、8投手で9回2失点と粘りのリレーを見せた。
先発した武藤は8月10日の阪神戦でもオープナーとして起用され、3回1失点。チームは6-4で勝利した。今季2度目の先発となった今回の試合では、3回途中でピンチを残して降板したが、後を継いだ投手が4回以降を無失点に抑えた。
変則的なシーズンの過密日程の中、オープナーが形になっているのは、リリーフ陣の充実によるところが大きい。この日の試合では、武藤の残した1死一、三塁のピンチで今季初登板となった砂田が継投し、内野ゴロの間による1失点のみに抑えた。その後は、試合前にラミレス監督が「武藤と2人で5回ぐらいまでは任せたい」としていた国吉が2回を無失点。続いてエスコバーも2回、パットンが1回を投げ、ヤクルトに追加点を許さなかった。
9回から登板した山崎が最初の打者の打球を受けて降板というアクシンデントもあったが、その後も緊急登板したルーキーの伊勢が打者2人を打ち取り、最後は石田が山崎晃を中飛に打ち取った。伊勢、石田は想定外の登板となったが、指揮官は「2人ともすごくよくやってくれた。特に伊勢は緊急事態で見事に抑えてくれた。非常によかったと思う」とピンチを救ったルーキーを称えた。
この日だけでなく、前日9月30日の試合では、先発の上茶谷が3回で降板となった後、三上、山崎、平田、伊勢の4投手が4回以降、ヤクルトに追加点を許さなかった。今季、開幕1軍を逃した三上は7月末に1軍昇格を果たしたが、不振ですぐに2軍降格。9月中旬に再昇格した後は、1日の試合を含めて6試合で無失点と好投を続けている。昨季はわずか7試合の登板に終わったが、15年から3年連続で60試合前後の登板とフル回転してきた。さらに1日にようやく今季初登板を果たした砂田も17年に62試合、18年は70試合登板を果たしている左腕。左右の実績ある2人の復帰で、ブルペン陣の充実ぶりはリーグ屈指と言える状況にある。
今永、平良と先発の左右の両輪が離脱中の現状で、リリーフにこれだけの陣容が揃っていれば、ラミレス監督がオープナーを採用することも納得できる。しかし、リリーフの9投手が自責点ゼロだったヤクルトとの直近2試合は、打線が振るわず、いずれもチームは勝利をつかむことができなかった。
チーム打率.266はリーグトップ、90本塁打、377得点はリーグ2位と強力な攻撃陣が目立つDeNAだが、リリーフ陣の奮闘ぶりは今季途中まで守護神だった山崎の不振を補って余りある働きにも見える。それでも、チームは借金1の3位で独走する巨人の姿は影さえも踏むことができない状況が続く。「戦略はしっかり練っている」と指揮官は言うが、チーム成績につながらないもどかしさは今季のDeNAを象徴しているようにも思える。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)