屈指のタレント揃いも“チーム内戦力差”露見 データが示す日本ハムの苦戦

日本ハムの打順別攻撃力【図表:鳥越規央】
日本ハムの打順別攻撃力【図表:鳥越規央】

打線は上位と下位に大きな差が生まれている

 打撃陣では、西川遥輝、近藤健介、中田翔、渡邉諒、大田泰示の5人を屋台骨としてオーダーを形成。開幕当初は

1番 西川遥輝
2番 大田泰示
3番 近藤健介
4番 中田翔
5番 渡邉諒

と、この5人を上位打線に固める形だったが、大田が6、7月の打率が.229、OPSが.574と絶不調に。7月中旬以降は、杉谷拳士、松本剛などが2番に入ったが、リーグ平均の打撃力に比べると非力であることは否めず、ここに大きな分断が生じてしまっている。

 1番の西川、3番の近藤、4番の中田が好調なだけに初回得点確率は35.2%とリーグ1位ではあるが、5回以降の得点確率がリーグ平均を大きく下回る。上記の5人の打撃成績が打率.290、OPS.825であるのに対し、5人以外は打率.213、OPS.576と差が大きく、5人の後を打つ下位打線での得点が期待できない状況となっている。

 得点効率を高めるためには、1~5番に5人を固めた打線を組むのが最善策と思われるが、大田を2番に戻せば、出塁したクリーンナップを本塁に迎え入れるための打者の駒が不足してしまう。2年前に放出したレアードの穴がなかなか埋まっていないことが、サードのグラフに表れている。現時点ではビヤヌエバの復調か、ファイターズ初の育成からの支配下登録となった樋口龍之介の成長に期待することになるだろうか。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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