なぜここまで鷹周東は盗塁を量産? 元コーチが指摘する“不完全でも成功”の妙
「周東と本多コーチの会話やアイコンタクトは、何とも不気味で頼もしく映る」
周東は昨年11月、俊足を買われ国際大会「プレミア12」で日本代表に選出され、大会最多の4盗塁をマーク。にわかに注目を浴びたが、今季初盗塁は開幕から1か月以上たった7月24日の日本ハム戦と遅かった。当初、代走や守備固めでの途中出場が多かった事情もあるが、森脇氏は「盗塁機会が少なかったというより、完璧を求め過ぎるあまり、思い切りが欠けていた」と見る。
周東を二人三脚で指導しているのが、現役時代に盗塁王に2度輝き、現在一塁ベースコーチも務める本多雄一内野守備走塁コーチ。森脇氏はかつてホークスの内野守備走塁コーチとして、その本多コーチの指導に携わった。「現役時代の本多コーチは当初、内野守備では抜群のスタート技術を身に着けた一方で、走者としてのスタートには波があった。そこでスランプの時には、グラブをはめて盗塁練習をして修正したことがある。グラブをはめての走破タイムが、通常を上回ったこともあった。そういう中で、完璧でなく8割のスタートでも成功できることに気付いてくれた」と振り返る。そして、「推測だが、本多コーチは周東の動かし方を知り、周東は完璧なスタートでなくても成功できる感触をつかんだように思う」と語る。「盗塁には投手狙い、捕手狙い、配球狙いなど様々な要素がある。一塁ベース上での周東と本多コーチの会話やアイコンタクトは、何とも不気味で頼もしく映る」とも。
10月に入ってからの周東の走りっぷりは、シーズン72盗塁をマークした64年の広瀬氏、94盗塁を量産した74年の福本氏並み。今季のみならず、来季以降、年間いったい何個の盗塁を決めるのか、楽しみになってくる。もちろん、クライマックスシリーズ、日本シリーズなどの短期決戦でも、周東の存在は相手にとって脅威。当代きっての韋駄天から目が離せない。