“二刀流”の23歳がハム王柏融超え新人王 最速開幕の台湾プロ野球はどうだった?
本塁打王&打点王の林安可、現日本ハム王柏融の新人記録塗り替える
昨年7月のCPBLドラフトでは、統一から投手として1位指名を受けるも、打力を買われ、まず野手に専念。29試合で打率.255、2本塁打という成績以上のインパクトを残した。本人の投手に対する強い思い入れもあり、2年目となる今年の春季キャンプでは当初、投手メインで「二刀流」の調整。練習試合、オープン戦の登板で結果が出なかった事から、今季も野手に専念することとなった。
林は4月下旬から次第に調子を上げると、6月下旬には2試合連続の2本塁打を含め、4試合で6発マークする圧倒的なパフォーマンスをみせ、前期シーズンで20号に到達。後期はやや調子を落としたものの、終わってみれば2016年にラミゴ時代の王柏融(日本ハム)の新人記録(29本塁打)、左打者シーズン最多記録(31本塁打)も更新する32本塁打をマークした。ベストナインに選出され、新人王も獲得した。
盗塁王は、42盗塁をマークした楽天の「韋駄天男」陳晨威が初めて獲得した。かつてMLBでもプレーしたチームメートのカーペンターが、「自分がこれまでにスタジアムで見た中で、最も足の速い子かも」と称賛した22歳の陳。今季3塁打も13本とリーグで初めて「2桁三塁打、40盗塁以上」を同一シーズンに記録した選手となった。
日本のカムバック賞に相当する「東山再起」賞には、高国輝(富邦)が選出された。同賞は2017年に設けられ、受賞者は昨年の潘威倫(統一)に続き、2人目となる。高国輝は2014年から3年連続で本塁打王、特に2015年にはリーグ記録となる39本塁打、2016年にも34本塁打をマークした台湾を代表する右の大砲。近年は、腰などの怪我に苦しみ出場数が減少していたが、今季は97試合に出場。打率.303(15位)、25本塁打(5位)、70打点(8位)と復活し、35歳にして健在ぶりをアピールした。
ゴールデングラブ賞では、二塁で林靖凱(統一)が、遊撃で江坤宇(中信)が選ばれた。高校の同級生でもある2人は、共に2000年7月生まれの20歳。シーズン中、好プレーで幾度もファンを沸かせた。共に長打力のあるタイプではないが、江はレギュラーシーズンで打率.309をマーク、シリーズの終盤では5番を任せられたほか、好守備でもチームを救い優秀選手に選出された。
2人は、2018年U-18アジア選手権の準優勝メンバー。2019年U-18ワールドカップの優勝メンバーも昨年、今年のドラフト会議で多数指名された。両大会の代表で昨年の中信1位、19歳の岳政華は今季2軍でアピール。後期終盤に1軍へ昇格すると、シリーズでも6試合でスタメンに起用され、打率は.250ながら、1本塁打を含む4打点、外野守備でもアピールした。今年の高3にも大物選手が複数おり、彼ら「台湾U-18黄金世代」の台湾プロ野球入りが期待される。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)