ホークス森とロッテ益田が歩んだ守護神への道 100ホールド&100Sを達成できた理由
新人王に輝いたルーキーイヤーからフル回転を続けている益田直也
益田はルーキーイヤーの2012年から中継ぎとして大車輪の活躍を披露し、同年の新人王の座にも輝いた。早くもブルペンの主軸の座を確立すると、抑えに転向した翌年もフル回転の活躍を継続。自身初タイトルとなる最多セーブも獲得し、24歳の若さで投手陣の中心的存在となっていた。
しかし、プロ入り後の2年間で140試合と、実に期間中に行われた全試合の半分という驚異的なペースで登板を重ねたこともあってか、そこからの2シーズンはやや安定感を欠く結果に。それでも2016年には防御率1点台と再び投球内容を向上させ、シーズン途中からはクローザーにも回った。入団から5シーズン連続で50試合以上に登板しており、まさに大車輪の働きを続けていたと言っていいだろう。
ただ、2017年はキャリアワーストの防御率5点台と大きく調子を崩し、自身初めて登板数が50試合を割り込む苦しい1年に。ここまではシーズンごとに調子の波が見られる傾向があったが、続く2018年にプロ1年目以来となる70試合登板を果たして以降は、3シーズン続けて安定感を維持。毎年登板を重ねながら故障での離脱は皆無という体の強さも大きな武器であり、ロッテのブルペンにとって非常に重要な存在であり続けている。
益田は150キロを超える速球と鋭く落ちるシンカーを軸に、力で押すピッチングを展開することが多い。だが、決してパワーピッチ一辺倒というわけではなく、打者の芯を外すためのカットボールや、シンカーよりも球速がやや遅く、逆方向に曲がるスライダーといった球種も併せ持っている。
決め球のシンカーの切れはその日の調子に左右される面があるが、シンカーに不安のある試合では速球でファウルを打たせてカウントを稼ぎ、機を見て緩いスライダーを交えつつ抑えていくという、引き出しの多さも長所の一つ。悪いなりにリードを守り切ることができる修正力の高さは、クローザーという役割に適合したものでもあるだろう。
また、益田の投球スタイルに触れるうえでは、走者を出してからの粘り強さについても語り落とせない。必ずしも3者凡退に抑えることはできずとも、出した走者をホームに生還させることなく、リードを保ったまま凌ぎきるケースが多い。先述した状態が悪くとも抑えられる修正力の高さに、ピンチにも動じない落ち着きが合わさり、終わってみればきっちりと抑えているという安定感が生まれている。
森と同様に、益田の今季の球種別被打率についても見ていきたい。
決め球のシンカーも低い被打率を記録しているが、それ以上に効果を発揮しているのがスライダーだ。シンカーとスライダーがさほど変わらない球速で真逆の変化をすることもあり、この2球種をうまく使い分けて打者を封じていることがうかがえる。カットボールの被打率が.333とやや打ち込まれているのは気がかりだが、速球も含めた4つの球種を効果的に用いながら、的確に打者を打ち取っているといえよう。