鷹は千賀&甲斐の2010年、ロッテは2008年…パ6球団の育成ドラフト“当たり年”は?
2008年に西野勇士&岡田幸文指名のロッテ、近年も和田康士朗ら活躍
近年においても、2015年に指名された柿沼友哉捕手、2017年に入団した和田康士朗外野手と、育成ドラフトで指名されてチームの一員となった選手が、今季のチームにおいても貴重な戦力として活躍を見せている。こういった歴史を振り返ってみても、ロッテは育成ドラフトにおいて、総じて一定以上の成功を収めているチームの一つと言えそうだ。
オリックスは2016年のドラフトで、支配下選手の指名でも1位で山岡泰輔投手、2位で黒木優太投手、4位で山本由伸投手、5位で小林慶祐投手、8位で澤田圭佑投手と、1軍で活躍を見せた投手たちを輩出。大成功だったといえる。そのうえ育成ドラフトでも、1位から3位までの投手がいずれも支配下に昇格し、既に1軍の舞台で存在感を発揮。2005年の球団合併以降では指折りの、大豊作のドラフトと形容できるはずだ。
張奕投手は外野手としては芽が出なかったが、2018年途中に投手に転向すると才能が開花。2019年に支配下登録され、1軍で先発として2勝をマークした。榊原翼投手は2018年開幕前に支配下へと移行し、同年終盤には先発陣の一角に。2019年は故障で長期離脱を強いられたものの、13試合で防御率2.72と一線級の投球内容を示した。神戸文也投手もプロ3年目の2019年途中に支配下となり、同年には1軍でも19試合で5ホールド、防御率3.86と奮闘した。
今季は張が先発陣の一角に加わり活躍を見せたが、榊原と神戸は前年同様の勢いは見せられず、やや成績を落としている。それでも榊原は22歳、神戸は26歳とまだ若く、壁に当たった今季の経験を糧に、さらなる成長も期待できる状況だ。今後の3投手の活躍ぶりによっては、現時点でも十二分に成功と呼べるだけの成果を残しているこの年のドラフトが、後年になってさらなる高評価を受ける可能性も大いにあるはずだ。
ソフトバンクにおける育成出身者の活躍は枚挙に暇がないが、その中でも特に成果のあったドラフトが、2010年と2017年といえるだろう。とりわけ2010年は押しも押されもせぬエースとなった千賀滉大投手と、同じく不動の正捕手へと成長した甲斐拓也捕手が揃って入団。球界を代表する選手が2人も指名されたというだけで大成功と呼べるドラフトだが、それが育成選手としての入団だったということが、なおのことスカウト陣の眼力の高さを感じさせる。
この年の育成ドラフト5位で入団した牧原大成内野手も、俊足と内外野をこなす汎用性を活かし、現在も1軍戦力として活躍している。5年連続2桁勝利を継続中の千賀、4年連続で100試合以上に出場している甲斐を含め、現チームの主力を3人輩出したこの年の育成ドラフトは、3年連続日本一の快挙にも大きく寄与したものであると言えそうだ。