鷹は千賀&甲斐の2010年、ロッテは2008年…パ6球団の育成ドラフト“当たり年”は?
千賀&甲斐が育ったソフトバンク、近年もリチャードらに期待
また、2017年の育成ドラフトでも、指名された6人中5人が3年以内に支配下へと昇格しており、こちらもかなりの成功を収めたといえる。この中で最大の出世頭と言えるのは、やはり周東佑京内野手だろう。2019年の開幕前に支配下に昇格すると、足のスペシャリストとしてセンセーショナルな活躍を披露。2020年は打撃面も向上してレギュラーの座をつかみ、13試合連続盗塁の日本記録も達成。同年のリーグ優勝にも、大きく貢献を果たしている。
4位指名の大竹耕太郎投手も2018年途中に支配下に昇格し、同年には一時期先発ローテーションに加わって3勝をマーク。翌年は夏場以降に調子を崩したものの、6月終了時点で5勝を挙げ、その時点では防御率2.65と好投を見せていた。今季も3試合の登板で2勝、防御率2.30、ウエスタン・リーグでは最多勝、最優秀防御率、最高勝率の3冠と奮闘しており、今後の活躍にも期待がかかる。尾形崇斗投手と渡邉雄大投手も今季1軍デビューを果たしており、開幕前に支配下を勝ち取ったリチャード内野手ともども来季以降の活躍に期待だ。
ソフトバンクの2010年の育成ドラフトはまさに会心の指名と呼べるものだったが、ロッテの2008年、ならびにオリックスの2016年の指名も、それぞれ素晴らしい成果を挙げたと言えるだろう。また、楽天も球団発足から間もない時期である2006年と2007年に、それぞれチームの主力となる選手を育成ドラフトで獲得。このように、育成ドラフトをチームの成長につなげたケースは、これまでも少なからず存在してきた。
日本ハムと西武はこれまで育成ドラフトで指名した選手自体がそこまで多くないこともあり、現時点ではそこからチームの主力となる選手を出せていない。とはいえ、近年の育成ドラフトで指名した選手の中にはまだ若い選手も多く、先述の通りに西武においては、既に支配下登録を勝ち取っている選手も複数いる。今後の各選手の活躍次第では、他球団同様の「当たり年」が生まれてくる可能性も大いにあるだろう。
育成選手から多くの主力が生まれているソフトバンクが2020年のペナントレースを制覇したことからもわかる通り、限られた支配下登録枠に囚われない指名ができる育成ドラフトによる戦力増強は、チームの成長や選手層の拡充といった面でも、重要な意味を持ってくる。チームの中長期的展望にも影響を及ぼす可能性を秘めた育成出身選手たちの活躍に、今後も注目してみる価値は大いにあることだろう。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)