甲斐拓也が“巨人封じ”の真実を独占激白 キーマンに定めた岡本和真の崩し方
第1戦で染み込ませたインコースへの意識、第2戦は「十分だな」
石川柊太が先発マウンドに上がった第2戦、甲斐は無安打に抑えた第1戦とは一転して、岡本のアウトコース中心にリードした。石川の武器であるカットボールやパワーカーブで外を攻めた。第1打席は外のカットボールで空振り三振。第2打席の初球、外に構えたストレートが抜けて内角への逆球になった。これを岡本はファウルにした。狙いとは違うボールだったが、このファウルから感じるところがあった。
「内に抜けたファウルがあったんですが、そこを振った時に、これはインコースにいくところじゃないと思った。十分だな、と」。岡本の頭の中にはインコースが嫌というほど染み付いている。そうなれば、外のボールには踏み込んで来られない。無理に内角を攻める必要はなかった。
2勝0敗と絶好のスタートを切り、舞台を本拠地PayPayドームに移した第3戦。甲斐はまた新たに仕掛ける。
「1日、間が空くし、投手もムーアになる。左投手になるんで、リセットされるなと思っていました。僕の考えでは千賀と石川さんで1つ、ムーアと和田さんで1つ、だと思っていた。また3戦目から始まると。ムーアは右打者のインコースのボール力があるし、強い球を投げられる」
2死二塁で迎えた第1打席は1球目、2球目とインコースへ。最後は154キロで差し込み、遊ゴロに打ち取った。4回の第2打席でも内角を中心に攻め、最後はナックルカーブで空振り三振に。7回の第3打席はそこまでの内角攻めを生かすように、最後は外のチェンジアップで泳がせて二ゴロ。甲斐と千賀、石川、ムーアのソフトバンクバッテリーは完璧に巨人の主砲を翻弄した。
第4戦になっても岡本のバットは湿ったまま。初回に4試合目で初めて巨人が先制し、なおも1死二塁で打席に立ったが、あえなく空振り三振。続く第2打席も空振り三振に倒れ、結局、この日も3打数無安打1四球。4試合を通じて13打数1安打、打率.077に終わった。主砲が眠った巨人打線はシリーズ史上最少の16安打、最少タイの4得点。甲斐の“岡本封じ”がソフトバンクの4年連続日本一を支えていた。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)