「子供には無限の可能性」 元ロッテ右腕が野球指導者に伝えたい球速アップへの理解
練習で取り入れていたことは「遠投」、幼少時から水泳もやっていた
身体の柔軟性を高めておくことは、身体の変化に気づきやすくなることから、自己管理能力を高める側面も持ち合わせており、またそれらは年齢を重ねてからも有利に働いてくるため、早期から取り組んでおくと良いでしょう。
これまでは心理的な面や身体面について述べてきましたが、ではそれらを踏まえて具体的にどんな練習方法が良いのでしょうか。私の場合は、遠投を多く取り入れていました。どれだけ遠くに投げられるかといった能力も大事ですが、なるべく低い軌道で投げることを意識してみると更に良いと思います。一方で、遠くに投げようとする意識が強まってくると、上半身の開きが早くなり、ボールもシュート成分が多くなってくるため、身体の開きを抑えつつ遠くに投げるには、自分の身体のどこを意識すると良いのかといった視点から考えることで、更なるパフォーマンスアップに繋がるでしょう。
ここまで目新しいものは特になかったかもしれませんが、こうした基礎的なことをどれだけ当たり前にできるかで差が生まれてくると考えています。また野球だけでなく、身体を使った遊びや様々なスポーツを経験することで、普段とは違った刺激が身体感覚を養ってくれます。私も、水泳やサッカー、スキーなど多岐に渡り色々な経験を重ねてきました。そうして養われた感覚や身体特性は、気づかないうちに自身のプレーの幅を広げることに繋がるはずです。
球を速くする方法に一概にこれといった正解はありませんが、まずはいろいろな経験を通して、身体や技術の土台をしっかりと養っていくこと、それは必ず後の競技生活を豊かなものにしてくれるでしょう。私がこれまで述べてきたことが1人でも多くの人にとって参考となれば幸いです。
(島孝明 / Takaaki Shima)