ロッテ、なぜ得失点差-18で2位躍進? 快進撃を可能にした投手運用の“管理力”
登板する点差、イニングともに、徹底した管理が見られた
唐川は比較的ビハインドでの登板も多くなっていたが、それ以外の投手は状況別の打席数を見ても、リードを許した場面での登板はかなり少なくなっていたことがうかがえる。とりわけ、抑えの益田のビハインド時と、シーズン途中から8回を任された澤村の同点時の打席数はいずれも非常に少なくなっており、できる限り登板機会を限定していたことが、各種の数字にも表れている。
また、各投手が登板したイニングに関しても、ハーマンは7、8回、唐川は7回、澤村は8回、益田は9回と、それぞれの持ち場をほぼ固定していたことがわかる。とりわけ目を引くのが益田投手の数字で、今季は9回以外のイニングに登板した回数はゼロ。抑えが登板するケースも少なくない延長10回の登板も一度もなく、投球イニングの管理はまさに徹底されつくしていたと言えるだろう。
さらに驚くべきことに、上記の4投手の各試合における投球回数は、すべての試合において1イニング以内に収まっていた。すなわち、勝ちパターンの投手がイニング跨ぎの登板を行ったケースは、年間を通して1度もなかったということになる。こういった点からも、重要な局面を担う投手たちの疲弊を極力避けるため、あらゆる対策を講じていたということがうかがい知れよう。
出番となるイニングが定められていれば、試合に臨む際のウォーミングアップや調整のルーティンや、登板に向けて集中力を高めていくタイミングもほぼ一定のものとなる。各投手にとってはそれだけ準備がしやすくなるということにもなり、ひいては今季のチーム全体のリリーフ陣の好成績にもつながったのではないだろうか。
また、今季のロッテでは一人の投手が「日をまたがない3連投」を行うケースを、極力避けるという方針の運用が行われてきた。実際、シーズン中に3連投がなされたのは、益田が9月3日から5日まで3連投した例と、澤村が10月29日から31日まで3連投した例の2つのみ。そして、一人の投手が4日以上連続で登板するというケースは、年間を通じて一度も存在しなかった。