日本ハムの今季を振り返る 中田&近藤がタイトル獲得も得点力、守備に課題【野手編】

「直球破壊王子」の渡邉諒と攻守で魅せた大田泰示

 渡邉諒内野手は、2年連続の規定打席到達で主力入りを果たし、キャリアハイの打率.283を記録した。「直球破壊王子」との愛称でおなじみの通り、そのバッティングは直球に滅法強く、数々の直球自慢たちを打ちのめした。

 なかでも印象的だったのが8月8日の西武戦。7回裏、2死から味方が3得点を挙げて1点差とすると、満塁のチャンスで打席へ。直球自慢のギャレット投手に対し、最速162キロ、160キロ超が4球という全球直球勝負の末、9球目の160キロを捉えると、打球は三遊間を抜け、2者が生還。劇的な逆転勝利の立役者となり、「直球破壊王子」として名声を上げた。

 大田泰示外野手も、3度目となる規定打席に到達。序盤こそ苦しんだものの、8月4日の西武戦で2本塁打6打点の大暴れをして以降、調子は上向きに。8月、9月には月間打率3割以上を記録するなど、打率.275、14本塁打68打点と結果を残した。俊足を活かした広い守備範囲と強肩でも存在感を示しており、捕殺数は7を記録。普段はライトでの起用が多いが、10月9日にはセンターとしてスタメン出場も果たすなど、来季以降に向けて新たなオプションも試しているようだ。

 しかし、このあとに続く打者が誤算だった。主に6番・7番としてランナーを返す役割を期待された王柏融外野手、ビヤヌエバ内野手の両外国人が不調で苦しいシーズンに。また、3年目の飛躍が期待された清宮幸太郎内野手は、キャリアハイに並ぶ7本塁打をマークするものの、打率が1割台と低迷。得点力不足に大きく響く形となってしまった。

 正捕手の固定にも苦しんだ。宇佐見真吾捕手がチーム最多の80試合に出場したものの、打率1割台、昨季は4割あった盗塁阻止率も.290と好守に力を発揮できなかった。昨季チーム最多の98試合に出場した清水優心捕手は、今季は69試合でこちらも打率1割台、失策8と悔しい結果に。チーム全体を通しても、守備率、失策数、捕逸数ともにリーグワーストと、ディフェンス面での綻びが低迷につながってしまったといえよう。

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