3連覇逃した西武 中継ぎに160キロ右腕が2人、必勝リレーを確立するも…【投手編】
松本航はセットポジションへのフォーム変更が転機に
松本航投手は、ルーキーイヤーの昨季は開幕直後に肺炎を発症して出遅れる悔しさを味わったが、今季はシーズンを通してローテーションを守った。勝利数は昨年の7勝から1つ減ってしまったものの、先発陣の一角として貢献したと言えよう。持ち味であるノビのある直球が投球割合の約6割を占め、そこにカットボールをはじめとした多彩な変化球を投げ込むスタイルは昨季同様だった。
6月、7月と2か月連続で防御率が5点台を超えていた松本は、西口コーチのアドバイスもあり、7月18日の楽天戦から投球フォームをワインドアップからセットポジションに変更。これが功を奏し、8月は白星はなかったものの防御率1.59、9月は同2.88で3勝0敗の好成績。特に9月13日のソフトバンク戦では7回121球無失点の力投を見せている。ただ、10月は防御率7.71と息切れをしてしまった。また、被本塁打19はリーグワーストタイの成績。こうした課題の改善を通して、来季はローテーションの柱としてさらなる飛躍を遂げてもらいたい。
開幕から「勝利の方程式」の1人を任されたのは、新助っ人のギャレット投手だ。7月は9試合に登板して防御率0.00とまさに文句なしの成績を残し「8回の男」として君臨した。注目すべきはなんと言っても最速162キロをたたき出してファンの度肝を抜いた豪速球だろう。8月以降はこの直球も痛打される機会も増え、シーズンを通してセットアッパーのポジションを守ることはできなかったが、10月以降は復調しただけに、来季のさらなる活躍に期待したい。また、来季は直球だけでなく、豊田コーチ直伝のフォークや、140キロを超える超高速ナックルカーブ、カットボールなどのキレにもぜひ注目してほしい。
ギャレットが調子を落とす中で頭角を現したのが森脇亮介投手だ。シーズン序盤では僅差のビハインドでの登板が中心ながら、防御率は1点台で推移するなど着実に好投を積み重ね、9月からセットアッパーに定着。直後に逆転するなど打線の援護もあり、チーム2位の7勝を挙げた。やや変則的な投球フォームから、140キロ中盤の直球、カットボール、そして切れ味抜群のフォークを投げ分けて打者を翻弄した。僅差の展開で先発投手から救援投手へと最初にバトンが引き継がれる7回は、試合の流れも変わりやすい。だが、47試合で防御率1.35と安定感が変わることはなかった。来季は、ギャレットとの競争にも注目だ。