リーグ最多32度の逆転負けを喫した楽天 今季の成果と課題を振り返る【野手編】
グラウンド内外で期待に応えた鈴木大地
強打者・浅村栄斗内野手や島内宏明外野手らが並ぶ楽天打線は、今季新戦力として鈴木大地内野手やロメロ外野手を迎え、さらに厚みを増した。ルーキーの小深田大翔内野手も躍動するなど野手の収穫は多かったといえる。楽天のシーズンレビュー後編は打者に注目し、2020年シーズンを振り返っていく。
「与えられたポジションで全力を尽くす」という宣言とともに、8年間プレーしたロッテから楽天に移籍した鈴木大。その宣言通り、チーム状態に合わせて一塁手と三塁手をこなし、全120試合に出場した。キャリアハイとなる打率.295、リーグ3位の141安打と、期待に応える活躍を見せた移籍1年目となった。
ロッテでキャプテンを務めた経験がある鈴木大は、試合中、投手のもとへ寄って声をかける姿が印象的である。今季はキャプテンの茂木栄五郎内野手が怪我でたびたび離脱したため、チームの精神的支柱となって引っ張った試合もあっただろう。また連敗を喫し、今季初めて3位に転落するなどチームが苦しかった8月は、26試合中24試合で安打を放ち、月間打率.394をマーク。チームに欠かせない存在となった鈴木大の活躍に、来季も期待しよう。
楽天に移籍して2年目のシーズンを迎えた浅村。昨季はキャリアハイの33本塁打を放つ活躍を見せ、4年連続5度目となるベストナインも受賞するなど、環境の変化に対応し、主力として申し分ない成績を残した。そして迎えた今季。周囲の期待はさらに大きくなっていたが、攻守にわたって要となる重責を、見事に力に変えてみせた。
シーズン序盤から本塁打を量産すると、9月には全26試合に出場してリーグ最多の10本塁打、27打点を記録し、2016年以来となる月間MVPを受賞。最終的には全120試合に出場、32本塁打で自身初の本塁打王も獲得した。
また、今季は勝負強さも光った。昨季より23試合少ない今季だったが、打点は昨季を12点上回る、リーグ2位の104打点を記録。チーム内打点2位のロメロは63打点だったため、楽天打線の中で浅村が果たした役割の大きさは言うまでもない。ただ、まだ楽天では打率3割未達である。来季は自身もこだわる「打率」でもより上を目指したいところだ。本塁打王を獲ってもなお注文をつけられるのは、球界を代表する打者の証。周囲の期待を力に変えて、来季もさらなる飛躍を遂げる1年にしたい。