ロッテ安田は“本物の4番”に成長できるか? 向上した変化球の対応と見つかった課題

ロッテ・安田尚憲のコース別打率【画像:(C)パ・リーグ インサイト】
ロッテ・安田尚憲のコース別打率【画像:(C)パ・リーグ インサイト】

得意分野と課題が見える、今季のコース別打率

 最後に昨季記録したコース別の打率についても見ていきたい。内角高め、ど真ん中、真ん中低めという3つのコースに対しては、かなりの強さを発揮していたと言える。とりわけ、真ん中に入ってきた失投をミスショットせずに捉えることができている点は、勝負強さが求められる4番として頼もしいポイントと言える。また、内角高め、ひざ元のボール球といった厳しいコースの攻めに対して、臆することなく対応できている点もポジティブな要素だろう。

 また、先ほど紹介した千賀、高橋光から放った本塁打は、いずれも真ん中低めのフォークを捉えたもの。ボールゾーンまで落ちきらずにストライクゾーンに入ってきた変化球を、いわゆる高確率で長打にできる“ツボ”とすることができれば、相手投手にとっては追い込んでからも一筋縄ではいかない打者となることだろう。それに加えて、今季は苦戦したフォークに対する打率も、相応に改善される可能性が高まってくるはずだ。

 また、真ん中の高さに来る球に対しては、内角のボール球を除いていずれも打率.250以上を記録しており、他のゾーンに比べて得意とする傾向が出ている。その一方で、内角を除く高めの球にはいずれも打率.100台以下と苦戦しており、低めの球に対しても真ん中と、内角のボール球以外は打率.200台前半と、やや不得手としていた。

 外角の高めは打率.139と極端に苦手としており、高めに浮いた球を捉えきれていない。内角、真ん中に来る球についてはさほど苦手としていないだけに、外角攻めに対する対応が大きな課題と言えそうだ。同じ外角でも、真ん中の高さに来る球に対しては一定の数字を残しているため、アウトコースに対する対応力を総合的に上げていければ、より穴の少ない打者へと成長していけそうだ。

 それ以外の細かな数字に目を向けると、安田がレギュラーシーズンで本塁打を放った試合では6戦全勝。安田のホームランはチームにとっても縁起の良いものとなっており、いわゆる“不敗神話”が形成されている。来季もこの流れが継続するか否かに、注目してみる価値はあるかもしれない。

 左右別の打撃成績に目を向けると、対左の打率が.177、対右の打率が.243と、左投手のことをかなり苦手としていることが見えてくる。また、今季記録した本塁打のうち、左腕から放ったものは辛島のカットボールを捉えた1本のみ。先述の通り安田はアウトコースを苦手としており、左投手が投じる外角低めのボールへの対応力向上は急務と言えそうだ。

 それでも、8月20日のソフトバンク戦では、左キラーとして知られる嘉弥真新也投手の速球を逆方向に流し打って安打にし、サヨナラ勝ちのきっかけを作ったように、左腕の外角攻めに流し打ちで対応するシーンも散見された。パ・リーグには優秀な左のリリーフ投手が多く存在するだけに、来季は対戦内容と成績の両面で、左腕とのマッチアップに改善がみられるかが重要なファクターとなってくるだろう。

昨季の貴重な経験をさらなる飛躍につなげられるか

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