143試合換算で分かるパ・リーグ投手の進化 時代に逆行?規定投球回到達が増加

もし143試合だったら…計算上は規定到達8人のうち6人が2桁勝利

 では、2020年に143試合が行われていたら、彼らはどのような成績を残したと考えられるか。規定に到達した8投手の成績を143試合に換算した結果は、以下の表の通りだ。(数字は、2020年のシーズン成績に1.191を掛けて求めた。投球回に関しては、1/3回を0.33として計算する。小数点第1位が0と1の場合は繰り上げず、2~4は1/3回、5~7は2/3回とし、8以上は1の位を繰り上げている)

143試合に換算した規定投球回到達者の成績【画像:(C)パ・リーグ インサイト】
143試合に換算した規定投球回到達者の成績【画像:(C)パ・リーグ インサイト】

 あくまでも単純な計算上ではあるが、8人のうち6人が2桁勝利を達成していたことになる。特殊なシーズンにあっても、2桁に到達するペースで勝ち星を重ねていた投手は決して少なくなかったということだ。

 ただし、投球回に関しては石川の159回が最多。2019年の最多が千賀の180.1回だったため、全体的に少なくなっている。大幅に開幕がずれ込み、6連戦が続く日程だったということで、先発に対して各チームが気を配っていた面はあるかもしれない。

 奪三振数も、千賀とオリックス・山本由伸投手の177が最多に。2019年の奪三振王・千賀が227奪三振だったことを考えると、大幅に少ない数字だ。千賀を筆頭に、山岡やロッテの種市篤暉投手ら、2019年の奪三振数上位の面々がシーズン中に故障に見舞われたことは、この傾向に無関係ではないだろう。離脱の影響を大きく受けるのも、短縮シーズンゆえの特徴と言えそうだ。

 被本塁打数の面では、最優秀防御率に輝いた千賀と、次点の山本がともに1桁という優れたペースだ。高橋光成、美馬、日本ハムの有原航平投手(現レンジャーズ)の3人もさほど多くはないが、涌井と石川はそれぞれ20被本塁打以上を喫していた計算となり、前年以上に二極化の傾向が見られた。

 被安打数の項目では、山本が年間100被安打を切った。2019年の被安打数も、規定到達者の中で最少だったが、その点ではより優れた成績を記録している計算になる。また、千賀も被安打を27本も減らした。最優秀防御率を争った両投手は、環境の変化に左右されることなく本領を発揮したと言えるだろう。

分業制が進む中で規定到達者の増加は注目すべき点

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY