怪我をしても「無理をしない」勇気を 甲子園3度出場の元プロ戦士が伝えたいこと
怪我を未然に防いであげる言葉、怪我をしている時にかけてあげる言葉が重要
帰宅するだけの日々。何もすることができなかった。自宅で毎日やっていた素振りも父とのティー打撃もできない。やれたことと言えば、自宅で野球中継を見て、プロの打ち方や野球の勉強、ストレッチやお風呂にしっかりと浸かることくらいだった。
石井氏は結果的に「何もすることができなかった」時期が、その後、大きかったと力説する。
「監督やコーチら周りの方がみんなすごく優しかったんですよね。リハビリもその後の練習も無理なくやらせてもらった。ランニングメニューを落としてもらったりとか、仲間からは声をかけてもらったりもしました」
無理をしなかったことが回復を早めた。春の県大会に間に合った。
「自分の体を休めるときは休めようという判断も時には必要だと思います。怪我の種類によってプレーができるもの、できないものがあります。当時は本人しかわからないことかもしれませんが、今はスポーツ科学や医療の面が進んでいるので、指導者も理解しなくてはいけないのかなと思います」
レギュラーを渡したくない選手は無理をしてでも練習をすることもある。一方でプロなど上のレベルを目指していく選手は、無理をしないという判断をする選手もいるかもしれない。だが、石井氏は指導者の判断が「大切になる」と話す。
「疲れている筋肉は肉離れの危険性をはらんでいます。その見分け方を大人がわかっておいてあげないといけないと感じますね」
プロ3球団で18年間もプレーし、その後はルートインBCリーグ・埼玉武蔵、女子プロ野球、軟式野球チームのコーチも務めた。現役時代は右膝や腰の怪我と隣合わせの日々。そんな中でもバットで結果を残してきた。