JR仙台駅の横断幕がつなげた絆… 押し出し四球で甲子園逃した柴田元エースの思い

横断幕に描かれたのは“第2校章”「Never Say Never」

 横断幕に入る大会名の部分は選抜優勝旗の紫紺から紫色が、校名の前に付ける校章は第2校章が選ばれていた。そのイメージ画像を見た土生善弘校長と平塚監督は「第2校章をよく見つけましたね」と驚き、喜んでくれたという。柴田の第1校章は蔵王山と白石川を表現した開校当時に制定したもの。開校から35年が経ち、「柴田のイメージを新たなものにしよう」(土生校長)と昨年11月の創立記念日に第2、第3校章を制定していた。校歌の2番に登場する「鵬」から2羽の鳥がデザインされ、下には校名と「Never Say Never」が入っているのが第2校章だ。

「JRの方が本校のホームページを見て、できたばかりの第2校章を入れてくれた。Never Say Never、決してあきらめない、不可能と言わないという文字も入れてくださり、嬉しかったですよ」と土生校長。今年の新入生から制服も変わる。学校の変革期。新たな柴田をアピールするタイミングで春夏通じて初の甲子園出場。そこにあと一歩で悔し涙を飲んだ、かつてのエースが会社と学校の橋渡しとなった。

 JR仙台駅の横断幕は甲子園出場を祝い、設置される。夏は2016年の東北を最後に2017年から仙台育英が3連覇中(昨年は新型コロナウイルスの影響で中止)。春も2017年、2020年(中止)と仙台育英だった。岩佐さんは「最近はずっと、仙台育英ばかり(苦笑)。仙台育英以外の学校、それも母校の横断幕が掲げられて、すごいなと思いました」と感慨深け。今、JR仙台駅西口には柴田と仙台育英の横断幕が誇らしげに並んでいる。

「柴田は初めての甲子園。いろんな人からの期待の声があって、プレッシャーになると思いますが、楽しくプレーしてほしいですね。勝利にこだわりながらも、甲子園ではこれまで練習してきたことを発揮してもらいたいなと思います」

 あの夏から季節はいくつも流れた。2死満塁から押し出し四球で高校野球を終え、涙に暮れた18歳は、立派な社会人になった。柴田は24日、京都国際との初戦を迎える。夢の舞台に立つ後輩たちに送るエールは温かい。

【写真】JR仙台駅に掲げられた横断幕

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