指揮官が課す“並行カウント”からの攻め 菊池雄星が89球で見せた真価の兆し

6回3失点の手応え「こういう形でいくんだっていうところは出せた」

 6回、4番のロンゴリアに浴びた右翼への同点2ランは、前日に同僚投手が喫したのと同じ外角の直球。相手のホットゾーンをかわしきれなかった制球の甘さはあったが、菊池は痛恨の1球にも「全力で腕を振って勝負にいった結果」と納得した。

 6回6安打3失点1四球10奪三振。結果だけを見れば「及第点」が付く今季の初登板で、菊池は、捕手からの返球をグラブに収めると左足をプレートに掛ける間を詰めて、臨戦態勢への意識を足元から保ちリズムを作っていった。

 終始硬い表情で話した試合後の会見で、菊池は表情を和らげて言った。

「初戦で自分の今シーズンの形というか、こういう形でいくんだっていうところは出せたと思います。まだ改善点はありますが、逆にそこは自分自身が楽しみにしてこれから臨みたいと思います」

 一夜明けた3日(同4日)、サービス監督は「マウンドでの落ち着きはここまで取り組んできたことの自信の表れ。6日後の登板が楽しみ」とうなずいた。

“攻めの投球”と“守りの打撃”――指揮官が定義する「ストライク先行」を89球でたどった菊池雄星が、真価を問われるメジャー3年目に好スタートを切ったのは確かなこと。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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