「外すのは簡単な話」 打率1割台も…井口監督が安田を4番で起用し続ける理由

ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】
ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】

勝負強さを作るのは自信+準備「チームとして育てていかないと」

 チームとしても、同じことが言えるでしょう。例えば、開幕2戦目と3戦目はブルペン陣が打たれましたが、それは試合ならあることで、決してエラーをして負けたわけじゃない。ただ、チームスローガンである「この1点を、つかみ取る」という野球が、残念ながらオープン戦を含め、ここまで我々が思ったようなプランでは進んでいませんし、簡単に実現できるものではないということです。

 ただ裏を返せば、今までできていなかったことだからこそ、チームスローガンとして掲げているわけです。シーズン全143試合を戦う中で、最終的にその形ができていればいい。簡単に実現することではないので、毎年変わるチームスローガンに加え、中期的なビジョンとしての「Team Voice」を発表し、1点の重みを最低でも3年、5年というスパンで浸透させていくつもりです。

 開幕当初に5連敗という形で、1点の重みを再確認できたことは前向きに捉えたいと思います。去年はリーグ2位だったから今年もいける!という自信はあってもいいけれど、変な驕りを持ってはいけない。連敗が続いた時、我々がそれをひっくり返すほどの力を持っているか考えると、そこまで呑気なことは言ってはいられません。今季のパ・リーグは1位から6位まで一気に覆されるほど均衡しているので、僕自身はもちろん、みんな覚悟を持ってやるしかないと思っています。

「あと1点取っていれば」「あと1本出ていれば」という試合は去年も多かった。それはファンの皆さんも実感していることでしょう。そういう試合でチームの核となる選手が仕事をしないといけませんが、今、それを決して安田や藤原(恭大)に任せようとは考えていません。今年は非常にいいスタートが切れているキャプテンの(中村)奨吾や中堅、ベテラン選手に勝負強さを身につけてほしいし、チームとして育てていかないといけません。

 打者はヒットを打つだけが仕事ではない。3打席凡退していても、4打席目のチャンスで1本打てたり、犠牲フライやゴロでも1点を入れたりできるか。しっかり自己分析をして、相手投手との力関係も考えながら、打席ではどの球を打とうとチョイスするか。これが打者の技量です。監督やコーチは、どういうアドバイスをして打席に送り出せるか。打席では冷静、かつ初球から振れる準備をさせるのが、我々の仕事です。

 かつてのロッテで言えば、今江(年晶)は勝負強かった。ここ一番、という目立つ場所では必ず打っていた印象があります。集中力の強さもあったでしょう。かく言う僕も、勝負強さには自信がありました。ただ目立ちたいだけでしたが(笑)、チャンスの場面では「自分まで打席が回ってこい!」と念じていたくらい。常にポジティブな結果を思い描いて、どうやって打席に立とうか分析していました。打席に立ったら選手次第ですが、そこまでの準備の過程はチームとしてサポートしていきます。

ドラ1ルーキー・鈴木昭汰を高評価「先発として十分合格点でした」

RECOMMEND